GSOMIAで米韓不協和音 裏に対中戦略の隔たり

 【ソウル=桜井紀雄】韓国で15日開かれた米韓国防相間の協議で、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の維持を求めた米側に対し、韓国は日本の輸出管理厳格化の撤回が前提との考えを示し、認識の溝が改めて浮き彫りになった。中国を牽制(けんせい)するためにも日米韓の安全保障協力は不可欠とみる米国に対し、韓国は対中牽制への参加に消極的で、この対中観の違いが協定をめぐる認識差にもつながっているようだ。

 「協定終了で得するのは中国や北朝鮮だ」。協議後の記者会見でこう強調したエスパー米国防長官は、協議前にも韓国側に「協定の問題を乗り越え、(日米韓が)共に北朝鮮の悪辣(あくらつ)な行為をいかに抑止し、長期的には中国にどう対処していくべきかに集中すべきだと促す」と明言していた。対北問題だけでなく、対中戦略を念頭に置いた発言だ。

 トランプ米政権は海洋進出を強める中国を、日本やインド、オーストラリアなどと連携して牽制する「インド太平洋戦略」を掲げる。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権にも繰り返し参加を促してきたが、文政権は積極参加を避けてきた。米韓当局者が2日、タイで協議し、韓国が東南アジア諸国連合(ASEAN)などとの関係強化を目指す「新南方政策とインド太平洋戦略の調和の取れた協力推進」を確認したのにとどまっている。

 韓国にとって経済の依存度が高く、対北問題でも協力が必要な中国を刺激するわけにはいないからだ。文政権は中国に、米軍の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」設置に絡む確執を抑えるため、米国のミサイル防衛に加わらず、日米韓の安保協力を軍事同盟に発展させないといった「3つのノー」を約束してしまっている。

 日米韓安保協力を一定以上高める考えは毛頭なく、文政権内では、協定が終了しても米国を介した旧来の情報共有で十分との見方が強い。だが、協定に対する温度差が同盟観と対中牽制をめぐる米韓の根本的な認識の隔たりを示すだけに、協定が終了すれば、米国内で文政権への不信感が高まることは避けられない。

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