トルコ大統領、シリア攻撃の支持拡大か 「来年にも選挙」の見方も

 シリア北部の少数民族クルド人勢力を攻撃したトルコのエルドアン大統領は、国境一帯に「安全地帯」を設置することで米露と合意し、国内で一定の支持を獲得したとみられる。ただ、経済は好転する材料に乏しく、支持は長続きしないとの見方もある。与党からは有力者が離党して新党の立ち上げを進めており、エルドアン氏が支持引き締めのため選挙の前倒し実施に踏み切るのでは-との観測も出ている。(イスタンブール 佐藤貴生)

 地元記者は、シリア攻撃はクルド系政党を除くトルコの全野党が支持したとし、「トルコ民族主義を鼓舞し、エルドアン政権への支持が増えた」と分析。複数の識者が同様の見方を示した上で、「攻撃には内政で支持を回復する狙いがあった」と話した。

 エルドアン氏が党首を務める与党、公正発展党(AKP)は3月の統一地方選で首都アンカラ、最大都市イスタンブールの市長選で最大野党の共和人民党(CHP)に敗れるなど、支持に陰りが出ていた。

 トルコの通貨リラは昨夏、米政権が経済制裁を発表するなどして対ドルで一時急落。政権は今年7月にロシア製防空システム「S400」の購入に踏み切り、米側が懸念を示す不安定な関係が続いている。

 トルコ紙のコラムニスト(49)は「シリア内戦で360万人の難民がトルコに来たことで経済面の負担が増えた。政策が経済再生を阻害している形だ」と分析した。また、インフレ率は一時25%に達し、失業率も約14%と厳しい状況にあるとし、攻撃による支持は一過性で、いずれ経済低迷への不満が強まるとの見方を示した。

 与党AKPをめぐっては7月、党結成に関わり副首相や外相を務めたババジャン氏が離脱。9月にも首相や外相を歴任したダウトオール氏が離党を表明した。2人は別々に新党を結成するとの観測が根強い。

 2016年のクーデター未遂事件を受け、エルドアン政権は反体制派やメディアの統制を強化。裁判官や軍人ら15万人が失職した。人権や民主主義が侵害されているとの見方は与党の他議員からも出ている。

 政治評論家のウシェク氏(61)は、「内政や経済の問題に加え、シリアへの越境攻撃で政権への国際的な圧力も強まった」とし、2023年まで大統領任期が残っているエルドアン氏が支持巻き返しのため、来年末にも大統領選と国会選を前倒しして行うのでは-と予測している。

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