徴用工判決1年 韓国、複数の解決案検討も日本と溝埋まらず

 【ソウル=桜井紀雄】韓国最高裁が日本企業に賠償を命じたいわゆる徴用工判決問題の解決に向けて韓国政府が複数の案を検討していることが分かった。ただ、いずれも日本企業の出資を前提とし、徴用工問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みだとする日本政府との認識の隔たりは大きい。日韓関係を極度に悪化させる根源となった判決確定から30日で1年を迎えるが、溝は依然深い。

 韓国政府は6月に日本と韓国の企業が自発的に出資し、元徴用工らに慰謝料を払う「1プラス1」と呼ばれる解決案を公式提案したが、日本政府は即座に拒否した。日本企業に賠償的性格の出資を強いることは、協定で解決済みという日韓が共有してきたはずの立場を覆すものだからだ。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は7月に「提示した案が唯一の解決法と主張したことはない」と述べたが、韓国政府が別の案を公表したことはなかった。韓国政府高官によると、現在は「1プラス1プラスα(アルファ)」と呼ばれる案を軸に検討を進めている。従来の日韓企業に韓国政府も加わる案とされるが、高官は「αが一つとはいえない」と説明。さまざまな想定を論議し、日本側に打診しているが、αを確定できる段階に至っていないという。

 李洛淵(イ・ナギョン)首相は9月に日韓議員連盟の河村建夫幹事長と会談した際に「1プラス1プラスα」を提案したと報道されたが、李氏は「そう話したことも、考えたこともない」と否定した。判決後には韓国政府と日韓企業が基金を創設する案も有力視されたが、1月に「大統領府が反対した」と報じられ、大統領府報道官は「発想自体が非常識だ」と基金案を批判していた。

 文氏が「判決の尊重」を盾に、政府は介入しない原則にこだわっていることが背景にあるようだ。日本が受け入れ可能な案を検討するには、文氏の認識の変化がまず必要だといえる。

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