日米関係は本当に順調なのか 中国に妥協的すぎる日本、トランプ氏の不満爆発すれば経済制裁も

東アジアの動乱と日本の針路

 日米両政府は7日(日本時間8日)、新貿易協定に正式署名した。表面上、日米関係は順調なように見える。だが、本当にそうだろうか。

 米国は、チャイナ(中国)の政治的、経済的脅威を深刻に認識している。ドナルド・トランプ政権だけでなく、野党・民主党も中国には厳しい態度で迫っている。

 チベットやウイグルでは、人権無視の強圧政策が継続している。特に、ウイグルでは100万人以上のウイグル人が強制収容所に収監されている。香港民主化運動は説明するまでもない。米国は「経済」と「人権」で中国を追い込んでいる。

 トランプ大統領と、安倍晋三首相では「中国の脅威」の認識について、大きな隔たりがある。日本の認識は、甘いと言わざるを得ない。

 実は日本こそ、知的所有権の窃盗などで、中国に経済制裁を発動してもおかしくないが、その動きはない。経済界には「トランプ氏が保護主義政策を振り回して、わが国は迷惑している」といった発言をするリーダーまでいるほどだ。

 最近では、日本は、中東・ホルムズ海峡の安全確保に向けた米主導の「有志連合」構想への参加を表明していない。トランプ政権や米軍からすれば、日本は中国にあまりに妥協的で、フラストレーションがたまっている。安倍首相とトランプ氏の個人的関係だけに依存していると、日本が制裁を受けることもあり得るのだ。

 それでは、米国の対中政策は継続するのか?

 これは、トランプ氏の大統領再選にかかっている。再選されれば、中国が根を上げるまで、米国は制裁を続けるだろう。

 筆者は現時点で、トランプ再選の可能性は7割以上とみている。民主党の大統領候補がみんな小物で、急進左翼色が濃厚なのである。中産階級の支持を幅広く集められるスター性のある候補者がいない。

 民主党は最近、「ウクライナ疑惑」なるものを持ち出して、トランプ氏の弾劾プロセスを開始した。この成功の可能性は、ほとんどゼロ%である。ロシアゲートの二番煎じの茶番劇である。

 トランプ氏が、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に、ジョー・バイデン前米副大統領の息子のスキャンダル調査を依頼した。これは、バイデン氏が副大統領時代、息子のハンター氏がウクライナの天然ガス企業の重役に就任していた問題である。

 以前から、これは「ウクライナ政府による、バイデン氏への贈賄に当たるのではないか」との疑惑が持たれていた。バイデン氏は現時点で、民主党予備選の有力候補であり、この真相が明らかになると、民主党は壊滅的な打撃を受ける。それを阻止しようと、「窮鼠猫を噛む」で弾劾を言い出したと分析している。

 トランプ氏によるウクライナへの捜査依頼は合法的な行動であり、弾劾の開始はむしろ、民主党が窮地に陥っていることの表れである。=おわり

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオで活躍する一方、銀行や証券会社の顧問などを務める。著書・共著に『国境ある経済の復活』(徳間書店)、『米中「冷戦」から「熱戦」』(ワック)など多数。

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