「一国二制度は拒絶」 蔡総統、双十節で演説

 【台北=田中靖人】台湾の蔡英文総統は10日、台北の総統府前で行われた建国記念日に当たる「双十節」の式典で演説し、香港情勢について「『一国二制度』の失敗により、秩序崩壊の瀬戸際にある」と指摘した。「『一国二制度』の拒絶は、党派や立場を問わない2300万人の台湾人民の最大の共通認識だ」と述べ、中国の習近平国家主席が受け入れを迫る同制度による「中台統一」を拒否する姿勢を、改めて示した。

 蔡氏は、米中の貿易戦争や香港情勢を挙げ、過去1年間の世界の変化は加速度を増しているとの認識を示し、「中国は依然として『一国二制度の台湾方式』で脅迫し、文攻武嚇(言葉で攻撃し武力で威嚇する)を用いて、地域の平和と安定に挑戦している」と批判。専制体制と民族主義、経済力が結合した中国の「台頭と拡張」は、自由と民主主義という価値観と世界秩序の双方に対する挑戦だと指摘した。

 その上で、台湾はインド太平洋地域の「前線」に位置するとして、「民主主義の価値を守る防衛線となった」と台湾の国際的な役割を強調した。一方で、「われわれは挑発も暴走もしない」と述べ、中国を刺激しない方針も再確認した。

 蔡氏は就任後3年間の成果も強調。1949年に中国国民党の政権が台湾に移り、中台が分断してから今年で70年となることを念頭に、「70年来、われわれは種々の厳しい挑戦を乗り越えたきた。(危機や災害の)共通の記憶は台湾人民の粘り強さを示している」とも述べた。来年1月の総統選での再選に向け、与党の民主進歩党だけでなく、野党の国民党寄りの有権者にも支持を広げたい思惑をうかがわせた。

 演説に続いて行われたパレードには、日本の超党派議員連盟「日華議員懇談会」の議員約20人らも初めて参加した。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ