正恩氏、再び訪中カードも 国交樹立70年 中朝蜜月続く

 【北京=西見由章】中国と北朝鮮が接近を続けている。米国との貿易協議を続ける中国と、同様に非核化に向けた協議を継続する北朝鮮の利害が一致するためだ。中朝国交樹立70年の6日、両国首脳は関係強化を誓う祝電を交換しただけで直接の往来はなかったものの、トランプ米大統領との次期会談を固めた時点で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が再び“訪中カード”を切る可能性がある。

 中国共産党機関紙、人民日報によると平壌で6日夜、国交樹立70周年のレセプションが開かれ、中国の李進軍・駐北朝鮮大使は「両国は社会主義革命や建設にあたって艱難(かんなん)をともにし、戦いの友誼を結んできた」とあいさつした。

 中国は朝鮮戦争で義勇軍を派兵し、中朝関係は「血で固めた友誼」と呼ばれた。正恩氏による核・ミサイル開発の強行で関係は悪化したが、米朝間の対話の流れができた昨年以降は正恩氏が4回訪中し、習近平氏も今年6月に国家主席として14年ぶりに訪朝するなど蜜月ぶりをアピールする。

 北朝鮮は中国との強固な関係を示すことで米国を牽制し、中国も北朝鮮の後ろ盾として影響力を誇示したい思惑がある。中国は北朝鮮の体制が崩壊すれば民主主義陣営に対する地政学的な「緩衝地帯」を失うだけでなく、自国の社会主義体制自体も危うくなる。

 国交樹立60周年では中国の温家宝首相(当時)が訪朝。今年は李克強首相の訪朝や正恩氏の訪中などを予測する声もあった。

 ただ5日にスウェーデン・ストックホルムで開かれた非核化をめぐる米朝実務協議は目立った成果がなく終了し、10日に開かれる米中閣僚級貿易協議の進展も予断を許さない状況だ。両首脳ともトランプ氏との直接交渉への道筋が描けない中、正恩氏の再訪中の時期を探っているとみられる。朝鮮半島情勢を担当する北京の外交官は「習氏の訪朝への返礼という形で、年内にも金氏が訪中する可能性はある」と分析する。

 中国は北朝鮮側が主張する段階的非核化を支持し、制裁緩和で同国の経済発展を後押ししたい考えだ。ただ共産党中央党校の張●(=王へんに連)瑰(ちょう・れんかい)教授は産経新聞の取材に、北朝鮮との関係改善はあくまで朝鮮半島の非核化実現が前提だと指摘。北朝鮮は「核兵器の放棄を公式に宣言しておらず、実際の行動も少ない」とし、今後も非核化プロセスに進展がみられない場合は中朝関係に影響するとの見方を示した。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ