北朝鮮ミサイル発射「狙いは内部の結束強化」 金東葉・慶南大教授

 米韓合同軍事演習の時期に合わせて北朝鮮は多数の発射実験を行ったが、米国などへの対外的な挑発は現在の彼らにとって何のメリットもない。「演習への対抗措置」は表向きの理由であり、実際は北朝鮮の人民や軍部に対して安全保障に関する積極的な姿勢をアピールすることで、北内部の結束を強化する狙いがあったとみられる。

 北朝鮮が今回、4種の新型兵器について、さまざまな地点から異なる飛距離で発射を行ったのは、攻撃を受けた際に大量の報復措置で応じることが可能であると誇示するものだ。韓国の北朝鮮に対する抑止政策「膺懲(ようちょう)報復」の北朝鮮版といえる。

 「米国も韓国も北朝鮮には手出しできない」と強調することで、最も重視する経済活動に人民が専念するよう促した格好だ。軍の士気を高める効果を含めて、発射試験の動機の6~7割を占めるのは対内的なメッセージを送ることにあったのだろう。

 それに加えて、韓国が国防費増額や(米国製の最新鋭ステルス戦闘機)F35の導入を進める中、兵器開発で対抗することは正当化される、とも考えた。

 米韓合同軍事演習や最高人民会議(国会)が終了し、北朝鮮は今後、しばらくは米国との実務協議に注力する局面に転換するのではないか。予測は難しいものの、米国との協議に進展がなければ、12月ごろから発射実験を再開させる可能性もあるとみている。(聞き手 時吉達也)

 キム・ドンヨプ 韓国軍出身。国防省の北朝鮮核問題の交渉実務担当などを経て、2018年から慶南大極東問題研究所所長。

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