対韓輸出規制で追い詰められる文政権 「軍事物資の不正輸出摘発」発表も裏目に

 日本政府による、韓国向け半導体素材の輸出管理強化をめぐり、文在寅(ムン・ジェイン)政権が追い詰められている。日本が、韓国による「不適切事案」を指摘したことを受け、4年間で軍事転用可能な戦略物資の不正輸出を156件摘発したと発表したが、潔白を証明するどころか疑惑はさらに深まった。韓国は米国に仲裁を期待しているが、文政権への不信を強めるドナルド・トランプ政権は「冷淡姿勢」を崩していない。

 「わが国の戦略物資輸出管理制度が、効果的かつ透明性をもって運用されている反証だ」

 韓国産業通商資源省の担当官は10日、2015年から今年3月にかけて、軍事転用可能な戦略物資の不正輸出摘発が計156件に上ったことを発表し、こう語った。この開き直りは信じられない。

 発表によると、15年に14件だった摘発件数は、17、18年には40件台、今年3月までには31件と急増傾向にある。

 韓国メディアによると、北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏殺害に使われた猛毒の神経剤VX製造に使われる物質がベトナムなどに輸出されたほか、日本の輸出規制強化対象となっているフッ化水素もアラブ首長国連邦(UAE)などに輸出されたという。

 ジャーナリストの加賀孝英氏が、8日発行の夕刊フジ「スクープ最前線」で報じた、《韓国に衝撃疑惑!「軍事転用物資」を北朝鮮へ横流しか 大量発注のフッ素物品が行方不明に…》を裏付ける発表だ。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「韓国政府は『これだけ摘発の成果を挙げた』と論点のすり替えをしたが、かえって日本政府の輸出管理強化の正当性を裏付けたといえる。韓国を8月以降、輸出上の手続きを簡素化する『ホワイト国』から外すのは、当然といえる」と語った。

 文大統領は10日、財閥トップらとの会合で「両国の友好と、安全保障上の協力関係に決して望ましくない」と日本の対応を批判した。

 だが、日本政府は淡々と国内手続きの変更を進める。

 12日に東京で行われる日韓協議について、韓国紙、中央日報(日本語版)は10日、《韓日「二国間協議」の格下げを狙う日本…12日に東京で「課長級」実務接触へ》と報じ、「韓国は局長級以上の協議を要請したが、日本は実務的説明次元の『事務レベル』にこだわった」と指摘した。

 窮地に立たされた韓国は、同盟国の米国による「仲裁」に期待をかけるが、日本政府の対応について、米国政府は静観姿勢を見せている。

 朝鮮日報(日本語版)は10日、「日本との事前のコンセンサス、自国の半導体産業への反射利益などを計算した『戦略的沈黙』ではないかと分析されている」と伝えた。

 当然のことだ。安倍政権は大阪でのG20(20カ国・地域)首脳会合前、トランプ政権に対し、輸出管理見直しについて伝達したとされる。

 そもそも、トランプ政権は文政権を信用していない。6月30日に南北非武装地帯の板門店(パンムンジョム)で行われた米朝首脳会談でも、米国の不信感が表れていた。

 板門店では、文氏が同行していたが、トランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の首脳会談に、文氏は同席を許されなかった。米朝の「仲介者」を自認してきた文氏だが、むしろ「韓国外し」を強調する光景だったといえる。

 輸出管理をめぐる問題でも、韓国は、米国に対する「裏切り」といえる行為をした疑いが出ている。

 産業通商資源省が作成した「戦略物資無許可輸出摘発現況」では、不正輸出先として、米国が対立を強めているイランの名前が挙がっているのだ。しかも、輸出されていたのは、サリンの原料となる「フッ化ナトリウム」だった。

 前出の潮氏は「米国は、輸出管理強化の仲裁をするどころか、日本の肩を持つ可能性が高まってきた。米国はイランと緊迫関係にあるのに、韓国からの不正輸出先には中東も含まれている。さらなる証拠が出てくれば、米国はさらに、『韓国は許せない』との認識を強めるのではないか」と語った。

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