収奪した富でミサイル開発・武装勢力支援 ハメネイ師制裁対象に

 【カイロ=佐藤貴生】トランプ米政権が金融制裁を科すと発表したイランの最高指導者ハメネイ師は、国内に広範な蓄財システムを持ち、巨額の資金を隠してきたといわれる。対外工作などを担う精鋭の革命防衛隊とともに国内のカネを吸い上げ、核・ミサイル開発や周辺国・地域の武装勢力に対する支援に使ってきた可能性がある。

 ロイター通信が2013年に発表したリポートによると、初代最高指導者ホメイニ師の名を冠した「EIKO」と称するイラン国内の団体は、組織的な土地収奪により、当時で950億ドル(約10兆2千億円)相当の資産を保有。この「経済帝国」はハメネイ師が一元管理しているという。米財務省は同年、この団体を制裁対象に指定した。

 一方、ハメネイ師が直轄する革命防衛隊の傘下企業は、イラン国内の通信関連の市場をほぼ独占し、石油化学で3分の1、金融で15~20%のシェアを有する。傘下の銀行から複数のフロント企業などを経由して資金の流れを複雑化した上で、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラや、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスなどに資金を供給してきた可能性が強い。

 革命防衛隊はハメネイ師が最高指導者に就任した1989年以降、イラン・イラク戦争で疲弊した国の再建のため、経済分野への進出が顕著になったとされる。ハメネイ師の下で肥大化し続け、革命体制の存続に邁進してきた格好だ。

 今回の制裁で、最高指導者の資産への監視が強化されることになる。しかし、ハメネイ師の資産が国外にも分散されているのか、どのような形で保有しているのかなど、実態は謎に包まれており、どの程度の打撃となるかは明らかではない。

 イラン指導部にすれば、米国が本格的な軍事攻撃に踏み切れば革命体制そのものが揺らぐ可能性も否定できない。資金が細ったとしても、核・ミサイル開発と周辺国への影響力保持という戦略はあらゆる手を尽くして継続するとみられる。

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