トランプ政権で重視される日本 日米同盟強化の好機

 【国際情勢分析】

 米国における日本の存在感に変化が起きている。米国の脅威となる中国の軍事力拡大や北朝鮮の核・ミサイル開発などとともに、トランプ米大統領と安倍晋三首相の密接な首脳関係によって米側が日本を重視する場面が増えている。

 米国と日本はともに先進7カ国(G7)のメンバーで、同盟国として安全保障政策でも連携する。自国の防衛を米軍に頼る日本にとって、米国の存在は経済、外交、安全保障などあらゆる面において重要だ。

 一方、米国にとって「ファー・イースト(極東)」に位置する日本への関心は、歴史的に関係の深い欧州よりも低くなりがちだった。日本に対する米国の視線が変わっている好機を生かして、日米同盟をさらに強化できるかは、日本側の取り組みにかかっている。

 米国防総省が6月1日に発表した「インド太平洋戦略に関する報告書」は、中国を修正主義国家と位置付け、共産党政権や中国人民解放軍(PLA)を批判した。

 報告書は「パートナーシップ」の項目を設けて、米国と日本の関係を一番初めに紹介している。シャナハン国防長官代行と岩屋毅防衛相が米国防総省で握手している写真も掲載し、「米日同盟はインド太平洋における平和と繁栄の礎」と明記した。

 同項では、日本に続き韓国、オーストラリア、フィリピン、タイなどとの関係が紹介されている。

 日本では4月、米国大使館が主催する形で米軍横田基地(東京都福生市など)と米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)への取材ツアーが日本メディアに対して組まれた。

 これまでも在日米軍による取材機会の提供は行われてきたが、米大使館が主催するのは初めてだという。

 安全保障に直結する機密情報が多い基地取材の調整が容易でないことは想像に難くない。それでも在日米軍が果たす役割や取り組みを日本国民に広く知ってもらいたいという米側の意思が伝わってくる。

 また、5月に訪問団が来日した米シンクタンク「全米アジア研究所(NBR)」でも日本重視の動きが見られる。

 オバマ前政権で情報機関を統括する国家情報長官を務めたデニス・ブレア氏らNBRの訪問団は、東京で自民党幹部や政府高官らと会談し、中国による知的財産権の侵害や日米間のサイバー協力などについて議論した。

 こうした形の対話は驚くものではないが、NBRの理事メンバー一覧には「Ryo Kubota」という名前があり、日本人の窪田良氏が同シンクタンクの幹部として参加していた。

 米国では、政府の政策ブレーンとしてシンクタンクを活用することが多く、影響力もある。窪田氏は「NBRが私を理事に加えたことは、米側が今、日本を重視している証だ」と強調する。そして「日本は、米国が日本を重要だと思っているこのタイミングを逃すことなく関係を深める必要がある」と訴える。

 人口13億人の巨大市場を抱える中国に対しては、将来、ビジネスを重視する親中の米政権が誕生してもおかしくない。日本は、自身が軽視される状況も想定し、強固な日米同盟を継続できるよう、この好機を生かして枠組みの強化を進めておく必要がある。(外信部 坂本一之)

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ