イランは最高指導者が絶対権力 大統領は行政の長

 【テヘラン=佐藤貴生】イランは1979年にパーレビ王政を打倒した革命が起きて以来、イスラム教シーア派の法学者による統治が続く。最高指導者は国政全般に最終決定権を持ち、絶大な権力を握る。大統領は国会や司法と並ぶ行政の長に過ぎず、軍に対する権限などはない。

 現最高指導者のハメネイ師は初代のホメイニ師に次ぐ2代目。若くしてシーア派聖地コムの神学校でホメイニ師に学び、革命運動を指導した「革命第1世代」だ。革命防衛隊の司令官や大統領を歴任し、ホメイニ師死後の89年に最高指導者となった。

 イスラムの価値観を重視する反米保守として国を率い、預言者ムハンマドの末裔(まつえい)であることを示す黒いターバンで頭部を覆う。

 一方、現大統領ロウハニ師もコムで学んだ法学者だが、革命成立後に海外から帰国し、イラン・イラク戦争(80~88年)に参加。穏健派の故ラフサンジャニ元大統領の側近で、改革派のハタミ元大統領時代の2003~05年に核問題の交渉責任者となり、13年から大統領を務める。

 ロウハニ師は白いターバンで頭部を覆っており、イスラム法学者としての位階では、最高位「大アヤトラ」のハメネイ師より低い。

 ハメネイ師の権力の源泉の一つとされるのが、反米で保守強硬派の牙城とされる革命防衛隊だ。イラン・イラク戦争で勢力を拡大し、ハメネイ師の最高指導者就任後は経済活動も顕著になった。テヘランの政治評論家によると、傘下企業は国内の通信や石油化学、金融などの分野に幅広く進出。ハメネイ師の“蓄財”の基盤とみる海外メディアもある。

 最高指導者の選出、罷免の権限は法学者で組織する専門家会議(定数88)が持つ。ただし、実際に罷免したことはない。

 大統領は国民の直接選挙で選ばれる。今年に入り、政府の要職に保守強硬派が就く事例がみられ、80歳と高齢となったハメネイ師の後任を見据えた人事との指摘もある。

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