イラン、安倍首相との会談で時間稼ぎ

 【テヘラン=佐藤貴生】イランのロウハニ大統領は12日の安倍晋三首相との首脳会談で、トランプ米政権の核合意離脱と制裁再開の不当性を訴え、イランの立場に理解を求めるとみられる。調停ムードの高まりをさらなる対米関係悪化を防ぐ時間稼ぎにする狙いがありそうだ。

 イラン指導部はトランプ米政権に抜きがたい不信感を抱いている。オバマ前政権下で締結された核合意を覆したことで、「国際協定も守れない国」「交渉相手として信用できない」などと批判してきた。

 米政権は「核・弾道ミサイル開発の停止」と「周辺国への影響力行使の中止」を要求してきたが、イランがこの点で譲歩すれば安全保障上の「盾」を失い、米国やイスラエルの軍事攻撃に対する抑止力がなくなることを意味する。とても手放せないのが実情で、むしろ現在のような米国との緊張に備え、手を打ってきた戦術といっていいほどだ。

 国内事情も対米融和にはそぐわない。最高指導者ハメネイ師は一貫して反米保守の立場を取り、トランプ政権がちらつかせる対話についても拒否してきた。保守派の国内世論の反発を考えれば、態度を軟化させるとは考えにくい。

 一方で、日本は米、イラン両国と良好な関係にはあるものの、核合意の締結国ではない。イランが5月上旬に核合意の一部不履行を表明し、経済取引の維持を迫ったのも、合意の締結国である英仏独3カ国だった。米・イランの対立の根深さからみて、日本の一度の仲介で大きな成果を期待するのは難しそうだ。

 イラン情勢に詳しい田中浩一郎・慶大教授は「今回は軍事的緊張の緩和が主題ではないか。米・イラン対立の根本は全く変わっておらず、緊張が緩和したとしても一時的なものでしかない」との見方を示した。

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