安倍首相イラン訪問 仲介実現に懐疑的見方も

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権は、安倍晋三首相によるイラン訪問に関し、米国とイランの深刻な対立状況を打開する糸口になる可能性もあるとして「歓迎」の立場を示している。しかし、日本が米・イランの本格的な緊張緩和や関係改善の「仲介役」を果たせるかについては懐疑的な見方も強い。

 40年前のイラン革命とテヘランの米大使館人質事件以降の米国とイランの根深い相互不信は、第三国が仲裁したところで容易には解きほぐせる性質のものではなく、少なくとも米国では日本にそこまでの役割は期待していない。

 中東の石油資源確保に向けた戦後日本の全方位外交によって、日本はイランとの関係維持を実現させてきた。しかし、そうした立場を通じて日本がイランに米国との関係改善に向けた「影響力」を行使できるかは全く別の話だ。

 一方、トランプ氏と安倍首相が個人的に親密な関係にある中、安倍首相が米国とイランの橋渡し役を務めようとするのは、イランが安倍首相を「オネストブローカー(公正な仲介人)」と見なすかどうかは別として、トランプ氏が何を考えているのかをイランに明確に伝える目的としては極めて有効だといえる。

 トランプ政権は昨年5月、イランに「核兵器開発の恒久的な停止」「ウラン濃縮の停止」「弾道ミサイル拡散と核ミサイル開発の停止」「中東でのテロ活動支援の停止」など12項目の要求を突きつけた。

 トランプ氏は最近、「戦争を望んでいない」「イランの体制転換を求めていない」などと述べ、緊張緩和を探る意向も示してはいる。しかし、米政権にとって「イラン封じ込め」は「イスラエル防衛」と並ぶ中東政策の2大最重要目標だ。安易な妥協はしないとみられ、事態打開の道は依然険しい。

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