朝鮮半島私はこうみる 「『シンガポール』後に米が態度一変」平岩俊司・南山大教授

 1年前の米朝首脳会談当時と現在では、非核化に対する米国の態度が一変し、強硬な姿勢を打ち出すようになった。北朝鮮は交渉の主導権を失い焦りを深めており、「トランプの尾を踏む」直前まで挑発行為を加速させる可能性もある。

 トランプ米大統領は会談直前の昨年5月、全面的に核放棄するまで見返りを与えないリビアの非核化方式を主張していたボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の発言を否定した。シンガポールの共同声明でも、非核化は4合意のうち3番目の位置づけにとどまり、少なくとも北朝鮮が「米国は段階的な非核化に応じた」と考える根拠を与えていた。

 安易な妥協が国内の批判を高めることに気づいたのか、この会談後からトランプ氏は「リビア方式」に近い一括合意路線にかじを切った。北朝鮮は今年末を期限として、米側に態度を転換するよう呼びかけるが、事態が動かなければ核施設の稼働などで揺さぶりをかける可能性がある。

 今後の米朝交渉に影響する要素として、米中貿易戦争の行方と、安倍晋三首相が「無条件」の首脳会談開催に言及する日朝交渉が挙げられる。米中関係がさらに悪化すれば、中国の交渉カードとして北朝鮮の価値は高まる。経済制裁の「お目こぼし」が増えれば北の対米姿勢に余裕を与える。

 一方、非核化について米国以上に厳しい態度で臨む日本が米朝の橋渡しをするのは容易でないが、北朝鮮には日本を突破口に、行き詰まる米朝交渉を進展させたい思いがあるだろう。(聞き手 時吉達也)

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