サンフランシスコが警察の「顔認証」利用禁止 賛否広がる

 【ニューヨーク=上塚真由】米西部カリフォルニア州サンフランシスコ市が警察や行政機関などで顔認証技術の利用を禁止する見通しとなった。米メディアによると、米都市で顔認証技術を禁止するのは初めて。市民のプライバシーを守るのが目的だが、犯罪捜査の妨げや、技術革新の後れにつながるとの反対論もあり、賛否が割れている。

 サンフランシスコ市議会が14日に賛成8、反対1で禁止条例案を可決した。個人や企業は対象外となっており、連邦政府が管轄する国際空港や港についても適用されない。

 条例案は顔認証技術について、「市民の権利や自由を脅かすことの方が、技術から得られる利点よりも大きい」とし、「政府による継続的な監視から自由に生活する能力を脅かす」などと指摘した。条例案は来週、正式に承認され、6月にも施行される見通し。

 顔認証技術は監視カメラなどで撮影した映像を元に、人工知能(AI)で認識して人物を特定して犯罪捜査に役立てる仕組みだ。米メディアによると、すでに数十の地方警察が導入し、昨年6月に東部メリーランド州で起きた新聞社銃撃事件では容疑者の身元特定に活用された。

 一方、マサチューセッツ工科大(MIT)などの研究では、女性や肌の色の濃い人の判別が難しいとされるなど顔認証技術にはまだ問題があり、不当逮捕につながりかねないとの指摘が出ている。

 これに加え、米国では顔認証技術の利用をめぐり、急速に進化するAI技術の活用とプライバシー保護をどう両立させるかの議論が活発化している。

 サンフランシスコ市の禁止条例を推進する人権団体などは、米政府が、中国のように顔認証を大規模な監視に利用する恐れについても懸念している。

 これに対し、情報技術イノベーション財団は14日に声明を出し、人権団体による懸念は行き過ぎであり、顔認証の利用禁止は「旧式の技術の時代にとどまることになる」と技術革新に悪影響があるとした。

 同様の禁止条例案は、カリフォルニア州オークランドや東部マサチューセッツ州サマービルでも検討されている。

 シリコンバレー地域に近くITの拠点として知られるサンフランシスコ市が禁止に踏み切ったことが他の地域に影響を与える可能性も指摘されている。

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