「イランの最後通告拒否」英仏独が共同声明 合意堅持へ有効策見えず

 【ベルリン=宮下日出男】イランによる核合意履行の一部停止方針を受け、英仏独の3カ国外相と欧州連合(EU)は9日、「いかなる最後通告も拒否する」との共同声明を発表し、イランに合意の完全履行継続を求めた。合意堅持のため、イランとの取引維持に向けて努力する決意も示した。ただ、有効策を見いだすのは難しく、欧州としては苦しい状況だ。

 声明はイラン側の方針について「大きな懸念」を表明した上、「事態をエスカレートさせる措置を抑制する」よう要求した。イランは8日、「60日」後に高濃縮ウラン製造を始める可能性のほか、濃縮ウラン貯蔵量の制限順守を停止する方針を示したが、声明は違反か否かは「実態」に即して判断するとも強調した。

 合意履行を監視する国際原子力機関(IAEA)によると、イランの濃縮ウラン貯蔵量は2月時点で上限300キロに対して約164キロ。欧州側はイランがまだ違反状態にはなっていないとの認識を示した形で、イランの態度は現時点で欧州側から一段の対応を引き出す駆け引きの一環ともみているもようだ。

 ハント英外相は8日、イランが実際に合意履行を停止すれば、「重大な結果を招く」とも強調。制裁再開の可能性もちらつかせ、イラン側に合意順守への圧力をかけた。

 ただ、欧州がイランとの取引を維持する方策を見つけるのは容易でない。EUはすでに域内企業が米国の制裁に従うことを禁じ、英仏独は制裁を回避しながらイラン側との取引決済を支える組織も発足させた。だが、対象は現時点で制裁適用外の医薬品など人道物資に限られる。

 EU統計局によると、イラン・EU間の1~2月の貿易総額は、米国が制裁を再開する前の昨年同時期の約2割に落ち込んだ。原油輸入もすでにゼロ。米国ビジネスへの影響を恐れる企業がイラン取引を控える傾向が鮮明になっている。

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