米大統領選 民主党を悩ます「1972年の悪夢」

【黒瀬悦成の米国解剖】

 4年に一度の米大統領選で、11月の本選の投開票を翌年に控えた本当の序盤戦にあたるこの時期に、誰が両党の候補に指名されるか、あるいは最後に誰が勝つかについての「専門家」の予想ほど当てにならないものはない。

 例えば現在、民主党の候補指名争いで支持率トップを走っているのは、先月25日に出馬表明したバイデン前副大統領だ。

 しかし、筆者が直接取材した大統領選でいえば、2008年選挙では同じ時期、民主党候補はクリントン上院議員(当時)、共和党はジュリアーニ前ニューヨーク市長(同)が本命視されていた。

 一方で、最終的に選挙を制したオバマ氏に対しては「米国で黒人大統領は時期尚早」との下馬評がずっと根強かったし、共和党候補になったマケイン上院議員(同)についても07年の間は資金集めに苦しみ、「早晩撤退する」との見方が大勢を占めていた。

 こうした歴史に照らせば、バイデン氏の前途も決して安泰ではない。とはいえ、議会誌ヒルと調査会社「ハリスX」が今月3~4日に民主党支持者を対象に行った世論調査では、バイデン氏を本選候補に推すとの回答は46%に上り、2位のサンダース上院議員14%を引き離すなど、バイデン氏が幸先の良いスタートを切っているのも事実だ。

 興味深いのは、サンダース氏を筆頭とする「急進左派」に位置づけられる候補が乱立し、民主党全体の左傾化が指摘される中で、いわゆる中道穏健派とされるバイデン氏がこれほどの人気を集めていることだ。

 こうした現象の根底には恐らく、1968~72年の民主党にとっての「悪夢」の再来に対する強い恐怖があるのだろう。

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