露疑惑 トランプ氏、司法妨害画策も、側近が命令無視 指示実行せず

 【ワシントン=住井亨介】ロシア疑惑に関するモラー米特別検察官の報告書は、トランプ大統領が捜査へのいらだちをあらわにし、司法妨害に問われかねない行動を起こしたことを明らかにした。トランプ氏が露疑惑捜査を妨害したとの判断が示されなかった理由の一つに側近たちが指示を実行に移さなかった命令無視があったとみられる。

 2017年5月17日、トランプ氏はセッションズ司法長官(当時)とホワイトハウスの大統領執務室で解任したばかりのコミー連邦捜査局(FBI)前長官の後任選びに当たっていた。

 そこにローゼンスタイン司法副長官からモラー氏を特別検察官に任命したとの知らせが。トランプ氏は「何でこんなことになった?」「私を守ってくれるはずだったろう」とセッションズ氏をなじったという。

 セッションズ氏は、政権発足前にトランプ陣営幹部として露側と接触していたことなどを理由に疑惑捜査を辞退していたため、モラー氏の任免権はローゼンスタイン氏にあった。

 報告書は、トランプ氏がその後、モラー氏の解任も画策したことも明らかにした。自身がコミー氏解任などで司法妨害の捜査対象になっているとメディアが報じたことに反応し、17年6月にマクガーン大統領法律顧問(当時)を呼んでモラー氏の解任を指示した。

 マクガーン氏は、ニクソン元大統領がウォーターゲート事件の特別検察官を解任させた「土曜日の夜の虐殺」を「再び引き起こすことを懸念」。トランプ氏の指示を実行しなかった。

 報告書は、「周辺の人々が命令や要望に従わなかったために、トランプ氏が捜査に影響を与えようとした試みはほとんど成功しなかった」ことが司法妨害の立証に至らなかった理由だとした。司法妨害は最高で懲役10年などが科される重罪で、大統領や高官が特別検察官に認定されたことがあり、トランプ氏周辺は神経をとがらせていた。

 1998年にクリントン元大統領の不倫・偽証疑惑を捜査した特別検察官は、連邦大陪審への証言を7カ月にわたり拒否したことや、「不適切な関係」があった元ホワイトハウス臨時職員と申し合わせて事実を隠したことなど4つの司法妨害の容疑が弾劾に相当すると指摘した。

 2003年にイラク戦争を批判した元駐ガボン大使の妻が米中央情報局(CIA)工作員であるとの情報が流出した事件では、故意に情報を漏らしたと疑われた元副大統領首席補佐官が偽証や司法妨害で有罪評決を受けた。

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