仮想通貨業者にサイバー攻撃 634億円の外貨獲得

 【ニューヨーク=上塚真由】国連安全保障理事会で北朝鮮制裁決議の履行状況を監視する専門家パネルの最新報告書が12日までに公表され、北朝鮮が2017年1月から18年9月の間に少なくとも5回のサイバー攻撃を用いて、仮想通貨交換業者から約5億7100万ドル(約634億円)の外貨を獲得したと指摘した。サイバー攻撃は追跡が難しく各国の規制も比較的緩いため「制裁逃れの幅を広げている」と警告している。

 5回のサイバー攻撃の中には、18年1月に起きた日本の交換業者「コインチェック」の流出事件も含まれている。報告書では、サイバー攻撃は、北朝鮮の情報機関「偵察総局」が主導していると強調。関係国の情報として「システム破壊や機密情報収集だけでなく外貨稼ぎも目的」とし「サイバーに特化した軍部隊が、政権のために外貨獲得の任務を与えられている」と指摘した。

 また報告書は、近年の北朝鮮による外国の金融機関などへのサイバー攻撃の事例を列挙。16年に偵察総局が韓国のネット通販大手「インターパーク」のサーバーをハッキングした事件や、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス・グループ」のメンバーが、バングラデシュ中央銀行へのサイバー攻撃で8100万ドルを盗んだ事件のほか、18年には、北朝鮮がチリとインドの銀行から計2350万ドルを奪ったと指摘した。

 制裁で外貨収入が先細る北朝鮮がサイバー攻撃に注力している実態が浮かび上がり、今後、安保理が北朝鮮への追加経済制裁を検討する際にはサイバー攻撃の実態を考慮するよう勧告。各国による情報交換の強化も求めた。

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