金正恩氏が帰国、制裁解除も中朝会談もないのに「成功」

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は5日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が同日午前3時(日本時間同)に平壌駅に到着し、2回目の米朝首脳会談とベトナム公式親善訪問を「世界の大きな関心と耳目が集まる中、成功裏に終えて」帰国したと報じた。2月23日に専用列車で平壌をたってから10日ぶり。2011年末に最高指導者に就任以来、最長の外遊となった。

 2日にベトナムを出た列車は行きと同じく、中国内の最短路線を北上し、広東省広州や北京を経由しなかったとされる。注目された習近平国家主席との会談や中国内での特別な経済視察もなかったもようだ。

 一方で、同通信は、列車が平壌駅に入ると「万歳!」の歓呼が「空いっぱいにこだました」と市民の歓迎ぶりを強調。党や政府の幹部が「祖国の繁栄と人民の幸福な未来のために2万里(約8千キロ)余りを行き来して不眠不休の対外活動を展開した最高指導者」を熱烈に迎えたと伝えた。

 留守番役を務めた金永南(ヨンナム)最高人民会議常任委員長や金正恩氏の最側近の崔竜海(チェ・リョンヘ)党副委員長らが出迎えた。

 5日付党機関紙、労働新聞も1面で写真とともに帰国を報じた。金正恩氏の出発以降、今回の外遊の重要さを連日、大々的に報じて国内の期待をあおってきただけに、物別れに終わった米朝会談も「成功」と伝えざるを得なかったようだ。

 金正恩氏がベトナム首脳との会談で「経済発展の経験を共有したい」と語り、経済発展に深い印象を受けたとするベトナムメディアが報じた内容には、北朝鮮メディアは直接、触れていない。米朝会談で最大の目的だった制裁解除を引き出せなかったため、国民に経済発展の期待を抱かせる表現は避けた可能性がある。

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