ファーウェイ事件、カナダのジレンマ

 5日にカナダメディアが報じて孟容疑者の逮捕が明らかになると、中国政府は即時釈放するようカナダに抗議。10日には中国国家安全省が元外交官のマイケル・コブリグ氏と企業家のマイケル・スパバ氏の2人のカナダ人を拘束した。

カナダの苦悩

 米国の要請に基づいて司法手続きを進めた結果、自国民が拘束されるという事態にまで追い込まれたカナダの苦悩は深い。

 ファーウェイ事件をめぐりトルドー政権は「法の支配」に従うとし、孟容疑者の米国移送に関する審理や手続きは司法の判断に委ねるとの見解を繰り返す。一方、相次ぐカナダ人拘束には「深刻に懸念」「中国側に説明を求めている」と述べるのみで、解放要求など中国への強い対応には踏み込まず、カナダ国内でも批判の声が噴出している。

 野党・保守党のシアー党首は13日、カナダ人の拘束について「トルドー政権の未熟な対中政策が機能していないことを示した」と指摘し、中国政府に対し「はっきりと非難する」ことを求めた。

 カナダは地政学上、米国と最も緊密な同盟国である一方、経済発展が著しい中国との関係強化にも近年、力を入れてきた。トルドー氏は対中貿易の拡大に意欲を示しており、11月には、自由貿易協定(FTA)の締結に向けた協議再開で中国側と合意。中国への接近は、トランプ米政権の通商政策への警戒がある。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を通じ、対米貿易が7割~8割を占めるという「米国依存」からの脱却をはかる必要性に迫られたためだ。

 だが、孟容疑者の逮捕を受け、すでにさまざまな影響が出ている。高級ダウンジャケットで知られるカナダブランド「カナダグース」の株価は急落。13日の終値が4日時点から約20%下がり、中国で不買運動が起こると不安視されたことが要因とみられる。15日に予定されていた北京市内の中国本土1号店のオープンも延期された。

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