ファーウェイCFO逮捕でバレてしまった「中国という国の本質」

 私には、孟容疑者の逮捕があまりの衝撃だったために、「我を忘れて、緻密な戦略もなく報復に突っ走ってしまった」ように見える。米中新冷戦は、単なる貿易戦争から、人権と安全保障が絡んだ対立へと局面が変わってしまった。果たして、中国はそこまで計算していたかどうか。

 2010年9月の沖縄県・尖閣諸島沖中国漁船衝突事件が影響した可能性もある。船長逮捕に対して、中国が日本人会社員4人を拘束して報復すると、当時の菅直人政権は腰砕けになって船長を釈放してしまった。中国は「戦果」に味をしめたのだろうか。

 ドナルド・トランプ米大統領は、孟容疑者の逮捕をめぐって、貿易問題と絡めて米司法省に介入する可能性を示唆した。だが、事はそう簡単に運ばないだろう。

 これは、ファーウェイによる機密情報の窃盗と、米国の安全保障が絡んだ問題であるからだ。だからこそ、米国は日本や英国、オーストラリアなど同盟国に対し、ファーウェイと、中国通信機器大手「中興通訊(ZTE)」の製品の使用禁止を求めた。安倍晋三政権が同社製品を政府調達から締め出すのも当然だ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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