KTX脱線の背景に文政権の“素人天下り”の指摘

 【ソウル=桜井紀雄】韓国北東部、江陵(カンヌン)で8日、約15人が負傷した高速鉄道KTXの脱線事故で、KTXを運行する韓国鉄道公社の呉泳食(オ・ヨンシク)社長は11日、辞任することを表明した。大統領選で文在寅(ムン・ジェイン)陣営の幹部を務めた国会議員出身の呉氏は、鉄道事業に携わった経験がなく、“天下り”による政治優先も事故の背景として指摘されている。

 呉氏は「相次ぐ事故で国民との約束を果たせず、謝罪の意とともに責任を痛感している」と陳謝した。ここ3週間でKTXが重機が衝突したり、停電でKTXが立ち往生して約130本の運行に支障を来たしたりする事故・トラブルが10件相次ぎ、李洛淵(イ・ナギョン)首相が5日に公社を訪れ、改善を求めたばかりだった。

 脱線原因について呉氏は8日、「気温の急低下による線路の異常」との見方を示していたが、翌日に公社が線路の切り替え装置の異常だったと訂正し、韓国メディアは、呉氏が素人ぶりを露呈させたと批判した。

 呉氏は文政権幹部に多い元学生運動家で、2月の社長就任後も解雇された労組員の復職や北朝鮮との鉄道連結など政治問題に傾注していたと非難された。

 「国民の安全重視」を掲げてきた文大統領は10日、大統領府の会議で「国民に申し訳なく、恥ずかしい事故だ」と再発防止の徹底を指示。旅客船セウォル号事故などで前政権を糾弾し、支持につなげてきただけに、安全に絡む問題は政権運営にも影響しかねない。

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