天国の父へ1年遅れの親孝行 豪州女性がつないだ聖火

 東京五輪の聖火リレーで13日、大阪府吹田市の万博記念公園に設けられた代替コースを、オーストラリア出身のカレン・ウォーターズさん(50)が駆けた。「見てもらえなかったのは残念だけど、天国にいる父を感じながら走った」。昨年11月に亡くなった父が愛した日本での大役を果たし、笑顔を見せた。

 父のウィリアムさんは、1964年の東京五輪出場を目指したオーストラリアのレスリング選手。予選で敗れたが補欠として来日し、通訳を務めていた母、元(もと)さん(76)と出会い、結婚した。

 オーストラリアでカレンさんら3人の子供に恵まれたが、先の大戦の爪痕が色濃く残る時代。敵国だった日本への反感は強く、自宅を爆破され、一家は日本に渡った。

 日本でも外国人として差別を受けたが、カレンさんにとって日本の文化や伝統に触れる生活は、それ以上に魅力的だった。家族でオーストラリアに戻った後、立命館大に留学。約20年前からは英会話教室を通じて国際理解を深める活動を続けている。

 聖火リレーへの参加を決めたのは、アルツハイマー病を患い、闘病していた父を励ますため。再び開かれる東京での五輪が、娘の名前も顔もわからなくなった父の意識を戻してくれるかもしれない。そんな期待を胸に、トーチを手に見舞う日を心待ちにしていた。

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