「郷里に恩返しを」 東京五輪金の早田卓次さん、近畿の聖火リレースタート

 東京五輪の聖火リレーは9日、近畿地方のトップを切って和歌山県新宮市をスタートした。3月25日に福島をスタートした聖火リレーは、和歌山県で8県目となる。

 「57年ぶりの東京五輪に少しでも役に立ちたかった。五輪経験者として盛り上げ、日本の選手にやる気を起こしてもらいたい。郷里に恩返しをしたいという思いもあった」

 和歌山県新宮市の聖火リレー。先頭を走った前回東京五輪の体操金メダリストで同県田辺市出身の早田(はやた)卓次さん(80)=東京都世田谷区=は、参加した動機をこう語った。

 昭和39年の前回東京五輪。日本代表選手として出場した早田さんは、つり輪で金メダルを獲得し、団体総合の金メダルにも貢献した。「選手として恥じない働きをしようと必死でやった。その結果としての金メダルだった」と振り返る。

 夢舞台での活躍を支えたのは、郷里の人たちの応援だった。特に田辺市の母校の中学生らが選手村に送ってきた激励の寄せ書きが今も印象に残っている。そんな経験から、ふるさと和歌山に感謝の気持ちを伝えたいと考えたという。

 往年の体操選手も80代にさしかかった。現役のころのけがが影響し、左脚の調子が思わしくない。それでも今回の聖火リレーに向け、「やはり元五輪選手だといわれたい」という思いで、朝起きてから体のストレッチに取り組むなど入念に準備。軽いジョギングをこなすほか、脚に負担がかからないよう自転車に乗ったり、プールの中を歩いたりする訓練に取り組んできた。

 この日、早田さんはトーチを掲げて笑顔で出発。沿道に手を振りながら軽快な足取りで進んだ。走行後は「沿道に予想以上に(人々が)立っていて励みになった」と振り返り、景色について「水平線がくっきりとして気持ちが弾んだ」と話した。

 2回目となる東京五輪は、新型コロナウイルス感染症が流行する中で行われる、過去にない大会。出場選手らが複雑な感情を抱いているのは間違いない。

 「選手たちはコロナで十分なトレーニングを積めなかったかもしれないが、そんな残念な思いをぶつけて結果を出してほしい」とエールを送る早田さん。

 日本の五輪金メダルは早田さんが出場した前回東京五輪と2004(平成16)年のアテネ五輪の16が最多だが、それを上回る活躍を期待する。「過去の金メダル数をぜひ超えてもらいたい」と力強く語った。

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