大栄翔活躍…世代交代完遂が新時代到来となる 植村徹也

 背景にあったのが、相手力士の研究だ。大栄翔はアマ(埼玉栄高)時代は「左四つ」でも相撲を取っていたそうで、突き押し一本ではなかった。相手力士は突き押しを防ぐため、ひっぱり込んで四つになろうと研究する。立ち合いからの攻防の中で、意識的にやや右脇を甘くし、大栄翔の左腕を“入れさせる”ための罠(わな)を仕掛けてくる。そこが、幕内上位の厳しさでもあった。

 「それは分かっているんですけど…。根が左四つもあったので、自然と左が入ってしまって…。絶対に誘いに乗らないようにしていきますよ」

 幕内上位に定着した頃には、相手力士の“誘導”にはもう乗らず、邪心を抱かない…という強い覚悟を口にしていた。破壊力満点の押し相撲を継続できているのも、上位陣の洗礼を克服した成果だろう。

 それにしても取組表の休場欄には、まるで“もうひとつの取組表”があるのか?と思うほど、休場力士のしこ名が並んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響をモロに受けたこともあるが、両横綱にいたってはこれで4場所連続の休場。鶴竜などは「腰の状態が…」と陸奥親方(元大関霧島)が話したものの、正式な診断書などの提出はあったのだろうか…。いまどき中学生や高校生でも、学校を休むときは病院の診断書を提出するだろうに…。場所前に横綱審議委員会から「注意」の決議があったばかりなのに、全く「ぬかにくぎ」「のれんに腕押し」ではないだろうか。

 大関以下の力士の奮闘は見ていても心躍るが、やはり最高位の横綱が土俵を締めてこそ。大栄翔ら中堅から若手力士にはもっともっと力を蓄え、最高位を目指して稽古に励んでもらいたい。世代交代を完全に成し遂げることが、角界に新時代到来を告げる。 (特別記者)

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