【バレーこぼれ話】福井工大福井、コロナ禍で芽生えた絆 大舞台・春高が成長を後押し

 「ジャパネット杯 春の高校バレー」第73回全日本高校選手権は男子が東福岡(福岡)、女子は就実(岡山)が頂点に立って今月10日に閉幕した。男子の福井工大福井(福井)は16強。今年度唯一の全国大会で、選手の絆と成長があった。

 今季の高校バレー界は国体とインターハイが新型コロナウイルス感染拡大で中止。福井工大福井も昨年末の愛知遠征を取りやめるなど、対外試合も満足に行えなかった。現役時代はVリーグでプレーした西田靖宏監督(44)は、練習の成果を発揮する場が激減したことに「何のために練習をしているのかと感じることもあった」と振り返る一方、コロナ禍で芽生えた絆を強調した。

 自粛期間中、部員全26人で練習に打ち込んだ。常に仲間と一緒に汗を流し、「バレーが好きだからやっている」と主将の林雅裕(3年)を中心に団結力と忍耐力が増した。指揮官は逆境の中でも教え子の強い意志を感じ、「マイナスだけでもなかった」と誇った。

 1回戦を勝利して迎えた雄物川(秋田)との2回戦前のコート練習。西田監督は「能力はある」と次世代エースとして期待を寄せる畑虎太郎(こたろう)=2年=の動きに、“異変”を感じた。「誰かに見せつけるように球を打っていた」。“風を切るような”パフォーマンスに、「あれでは活躍できない」。2-0で勝利したものの試合前の予感は的中し、畑は精彩を欠いた。

 翌日の3回戦(東福岡戦)では一転、畑が存在感を示した。前夜、宿泊するホテルの自室で雄物川戦でのプレーを反省。部屋を掃除し、「やるぞ!!」と心を入れ替えたという。結果的に優勝した東福岡に1-2で逆転負けして目標の4強以上には届かなかったが、「3年生に感謝の気持ちでいっぱい」。コロナ禍の中、背中で示してくれた最上級生の姿勢に自ら気が付いた。大舞台が成長を後押しした。

 「コロナ禍でつらかったと思うけど、選手は伸びた」。無観客での開催でも、西田監督は春高開催の意義を語った。出場した男女計104校が必死につないだ“パス”は生涯、色あせることはない。(石井文敏)

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