突き押し一本…磨いた貴景勝 初場所で綱取り

 一年納めの大相撲11月場所千秋楽は、東大関貴景勝が13勝2敗で並んだ東小結照ノ富士との優勝決定戦を押し出しで制し、11場所ぶり2度目の優勝を果たした。

 ■本割完敗…「無心になって」電車道

 一心不乱に押し相撲を貫いた先に賜杯が待っていた。優勝決定戦。土俵下に照ノ富士が落ちるのを見届けると、貴景勝は感極まった表情を浮かべた。「大関になってからあまりいいことがなくて。こういう結果で終われたことを本当にうれしく思う」。歩んだ苦難の道のりが、抱いた賜杯を一層重く感じさせた。

 本割は照ノ富士に背中からたたきつけられる完敗だった。そこからの切り替えが見事。「無心になって、挑戦者になって。新弟子の頃、何も考えず強くなりたかった自分を思い出してぶつかった」。決定戦では胸のすくような電車道。ひたすら相手の体を押し続け、3秒4で勝負を決めた。

 ■綱取り「とにかく早く、早く」

 2年前に小結で手にした「あれよあれよ」の初優勝とは味わいが違う。右膝、大胸筋、左膝-。昨年春場所後に大関に昇進してから度重なるけがと闘ってきた。賜杯が遠く、壁になれずに朝乃山、正代の大関昇進を許した。「精神的にももう一踏ん張りしなきゃいけない」。己と闘い抜いて、焦がれた優勝を手繰り寄せた。

 175センチ、183キロ。角界では決して恵まれた体格ではない。突き押しを磨き、体を目いっぱい使って相手にぶつかる相撲で必然的にけがも増えた。

 「体が大きくないから人より負担も大きいと思う。何場所後までとか、(自分に)甘くしたらいけない。とにかく早く、早く(横綱へ)。そうしないと力士をやっている意味がない」

 今年1月、こう決意を語っていた。大関8場所目でようやく優勝し、最高位への道が開けた。突き押し一本で横綱に上り詰めた力士は過去に思い浮かばない。24歳が新たな歴史の扉に手をかけようとしている。

 (浜田慎太郎)

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