差別抗議のマスク7枚が「私を強くしてくれた」 大坂、変化する米スポーツ界で中心的存在感

 【ニューヨーク=上塚真由】女子テニスの大坂なおみ(日清食品)が12日、全米オープンの女子シングルス決勝でビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)を破り、2年ぶり2度目の全米優勝を果たした。大坂は今大会、人種差別に抗議の意を示すため、決勝までの7試合でそれぞれ被害者の名前が書かれたマスクを着用。抗議活動をスポーツの舞台に持ち込むことに賛否が分かれる中でも多くの共感と注目を集め、米スポーツ界に一石を投じた。

 大坂は決勝の舞台に、2014年に死亡した当時12歳の黒人少年、タミル・ライス君の名前が書かれたマスクを着用して入場した。ライス君は中西部オハイオ州でおもちゃの銃で遊んでいたところ、通報を受けて駆け付けた警官から発砲を受けて死亡。その後、発砲した警官は不起訴となった。

 1回戦から黒人被害者名が入ったマスクの着用を始め、用意した7枚を決勝までに全て披露した大坂。12日の試合後、米スポーツ専門局ESPNのインタビューでは、7人の存在を背負った戦いを振り返り「もっと多くの名前を見せたい、もっと話題にしてほしいという思いで、勝利への願望が強くなった。私自身を強くしてくれたと思う」と語った。

 大会ではライス君のほか、今年3月に警官に撃たれて死亡した救急救命士、ブリオナ・テイラーさんや、12年に白人自警団に射殺され、「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命も大事だ)」運動のきっかけとなった黒人少年、トレイボン・マーティンさん(当時17歳)などの名前もマスクに記した。「被害者がどういう人なのかを知ってもらえれば、差別問題への関心が広がるかもしれない」。その狙い通り、大坂が勝ち進むたびに、披露するマスクが注目を集め、過去の事件も改めて報道された。準決勝後には、マスクに名前を入れた被害者の家族から感謝の言葉を送られ、涙する場面もあった。

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