コロナ禍で立ち消え寸前も…16球団構想に「台湾と合体」の裏ワザ! 「NPBに加盟できないか」台湾の有力者もラブコール

 ソフトバンク・王球団会長が突如ぶち上げた、日本野球機構(NPB)を12球団から16球団に拡張する構想は、注目され始めたところで新型コロナウイルス禍が直撃。今季公式戦はいまだ開幕のめどが立たず、スポーツビジネスのリスクが再認識されたことで、新規参入の機運は吹き飛んでしまった。ただ、一から新球団を立ち上げなくても、16球団でリーグ戦を展開する方法はある。世界で唯一、今季公式戦を開催中の台湾プロ野球(CPBL)との“合体”だ。台湾側の有力者からも、ラブコールが出ている。(笹森倫)

 昨年オフに12球団の経営サイドで大きな話題となったのが、「あのヤクルトまで黒字になった」という驚きのニュースだ。本拠地・神宮球場の昨季の観客動員は1試合平均2万8000人弱。10年前の2009年は同1万8000人余だったから、毎試合1万人の大幅増だ。しかも昨季はセ・リーグ最下位。当のヤクルト関係者まで「いろいろな理由は考えられるが、本当のところはよくわからない。バブルですよ」と困惑するほどだ。

 かつてプロ野球チーム保有は採算度外視で、親会社の知名度や信頼感を高める広告塔の扱いだった。ところが、TBSから慢性赤字のベイスターズを買収したDeNAが、わずか5年で黒字化に成功。各球団とも球場ビジネスに力を入れ、空前の大入りを記録するようになった。在京球団の幹部は「プロ野球はもうかる、というのが共通認識になってきた。特にIT関連企業は、客と直に接して商売する部門を持ちたいという思いが強いようだ」と語っていた。

 王会長が年明け早々、ソフトバンクの本拠地・福岡の民放テレビ局の特番で「あと4つ新しい球団が誕生してほしい」と突如発言した背景にも、「(新規参入に)手を挙げたい企業から、具体的なアプローチがあったのではないか」と前出球団幹部はみていた。

 だが、せっかくの上げ潮ムードはコロナ禍で雲散霧消。感染拡大を防ぐため、試合どころか練習もままならない現状だ。球団経営に興味を抱いていた企業が、「やっぱりスポーツビジネスは危ない」と撤退に向かうのは火を見るよりも明らか。このまま開幕できなければ、既存12球団からも経営危機が叫ばれ始める。

 立ち消えの気配の16球団構想ではあるが、王会長が意図する「受け皿の拡大」と「プレーオフ方式の公正化」は、何も国内だけで4球団を増やさなくても実現できる。注目するべき候補地は、王会長が国籍を有し現地でも英雄視される台湾だ。

 5月20日に台湾副総統に就任する頼清徳氏は、2月に産経新聞の単独インタビューで興味深い発言をしている。「世界中で日本と最も関係の深い場所は台湾」が持論の親日派は、「(日本と)関係を発展させるのにまだやれることはまだたくさんある」と力説。具体案として「台湾のプロ野球チームが日本のプロリーグに参加できれば面白いと思う」と話している。

 リップサービスで片づけるのは早計だ。巨人のフロントOBは数年前、台湾の有力企業の首脳から次のような相談を持ち掛けられたと証言する。

 「プロ野球チームを持ちたい気持ちはあるが、台湾だと八百長が怖くて手が出せない。台湾に本拠地を置いて、NPBに加盟する方法はないか」

 選手の永久追放や球団の解散といった悲哀を何度も味わいながら、今世紀に入っても台湾球界では八百長が繰り返されてきた。不正でファンの心が離れ、リスクを嫌う企業から球団経営は敬遠され、年俸が安い選手がまた手を染める悪循環が続いたが、ここ10年は小康状態を保っている。

 台湾のコロナ対策が奏功したことから、今季は世界に先駆けて12日から無観客ながら1軍公式戦を開催中だ。4球団の一角には、日本企業を親会社に今季参入した楽天モンキーズ。来季さらに1球団増える予定だ。

 台湾の複数球団を交え、4地区制にして4球団ずつ配し、各地区の首位でプレーオフを行えば、現行のクライマックスシリーズより公正な方式となる。日台で互いに外国人枠が適用されなければ、プロの受け皿も拡大。外国人選手の来日に携わる代理人は「台湾の有望な若手の多くは、CPBLでは稼げないので米マイナー球団に進むが、日本と一緒にやれば人材の流出も防げる」と期待を寄せる。

 米大リーグ30球団中のうち、ブルージェイズはカナダのトロントが本拠地。さらにメキシコにも新球団の構想がある。NPBも“鎖国”を解き、アジア版大リーグを主導すれば、マーケットは国内で球団を増やすよりも格段に大きく広がる。

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