聖火への思いさまざま 福島・初日のリレールート

 「復興五輪」の象徴として、26日に福島をスタートするはずだった東京五輪の聖火リレーは、新型コロナウイルスの感染拡大で直前になって延期が決まり、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地を走ることはなかった。リレー初日の予定コース周辺では、関係者のさまざまな思いが交錯した。

 グランドスタートが予定されていたJヴィレッジ(福島県楢葉町、広野町)には、朝からヘルメット姿の作業員が集まりステージなどの撤収に追われた。作業を見守っていた東京五輪・パラリンピック組織委員会広報部の谷口諒介さんは「(撤収取材の)報道関係者も多く、危険がないよう協力をお願いしている」と話した。

 Jヴィレッジの広報担当、高名祐介さんも撤収作業を離れた場所からみつめた。「残念だが、健康を守ることを考えると仕方ない」と話し、「再びグランドスタートの地になるのであれば、今回の経験を生かしたい」と続けた。

 群馬県大泉町から仲間と5人で訪れた会社員の茂木久幸さん(51)は東日本大震災以降、東北でボランティアを続けている。この日は所属団体の代表の男性が、南相馬市で聖火ランナーを務めることになっていた。茂木さんは「応援で今日だけ仕事を休んでいた。せっかくなのでスタート地点を見たかった」といい、「リレールートや被災地も回る」と話していた。

 今月14日に全線で運転を再開したJR常磐線の双葉駅(双葉町)。聖火は大野駅(大熊町)から列車で運ぶ手はずだった。人影まばらな双葉駅前で警戒に当たっていた警備員男性は「昼頃、聖火リレーの通行止めを知らせる看板を業者が撤去した」と語った。

 一方、大熊町のリレールート沿いで化粧品や雑貨の仮設店舗を営み、いわき市で避難生活を送る鈴木孝子さん(68)は「沿道で応援したかった」と残念そう。だが、仮設店舗の反対側に店の建設計画が進んでおり「1年後に、少し発展した街並みを見てもらえるかも」と声を弾ませた。(芹沢伸生、写真も)

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ