羽生、今年の漢字は「壁」と「扉」 3月チェンと再戦、逆転の“鍵”4回転半磨く/フィギュア

 【トリノ(イタリア)9日=鈴木智紘】フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルで男子2位だった羽生結弦(25)=ANA=が、この日までに当地の会場で取材に応じ、2019年を表す漢字として「壁」と「扉」を挙げた。右足首の故障から復帰し、駆け抜けた1年。3連覇を許したネーサン・チェン(20)=米国=が目の前に立ちはだかるが、つかんだ手応えもあった。

 悩んだ末に挙げたのは2文字だった。「壁」と「扉」。その心は-。今年を表す漢字1文字を問われた羽生が、とうとうと言葉を紡いだ。

 「扉がついていた壁もあったし、逆にそれを取りつけた壁もあった。いまだに今、自分の前に高い壁がある。苦しいって字にしようかとも思ったけど、乗り越えた部分もあったので」

 宿敵が目の前にたちふさがった。2019年の戦いは、3月の世界選手権(埼玉)で幕を開けた。18年11月のロシア杯で負った右足首の故障からの復帰戦。18年2月の平昌冬季五輪以来のチェンとの対戦は22・45点差で敗れた。再戦した今大会で、倍近い43・87点までその差を広げられた。

 「ネーサンが素晴らしい演技をしなければ強くなろうと思えなかった」。今大会のフリーでは、現行ルールで初めて4種類5本もの4回転を決めた。さらに、来年3月の世界選手権(カナダ・モントリオール)でのクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)投入を目指す。究極のプログラムで打倒チェンに燃える。

 前人未到の4回転半も分厚い壁の一つ。世界初の成功だけでなく、表現面と両立させるのがスケーターとしての夢だ。「かなり難しいことは自分でも分かっています」。ファンを前にした今大会の公式練習で試みた。まだ高さが足りないと自己分析するものの、着実に前に進んでいる。

 こじ開けた扉もあった。4度目の挑戦だった10月のスケートカナダで初優勝。11月のNHK杯では、2季目のフリー「Origin」で初めて4回転ループと4回転サルコーを決めた。今大会では、試合で2年ぶりに封印を解いた4回転ルッツを鮮やかに降りた。

 19日開幕の全日本選手権(国立代々木競技場)に4年ぶりに出場する。五輪メダリストの宇野昌磨(21)=トヨタ自動車=や高橋大輔(33)=関大KFSC=と同じ銀盤に立つ。

 その先にチェンとの再戦が訪れる。「ここからまた強くなれる。今に見とけ」。不屈のスケーターにとって、開かずの扉はない。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ