チェンは遠く…羽生、惨敗43・87差で2位/フィギュア

 フィギュアスケート・GPファイナル最終日(7日、トリノ)男子でショートプログラム(SP)2位の羽生結弦(25)=ANA=はフリーも2位の194・00点となり、合計291・43点で2位だった。4連覇した2016年大会以来3年ぶりの出場だったが、男女を通じて史上初の5度目の頂点には届かなかった。SP1位のネーサン・チェン(20)=米国=がフリーも1位の224・92点をマークし、合計335・30点で3連覇。フリー、合計の得点で自身が持つ世界最高を更新した。

 力は残っていなかった。右膝で立ち、左腕を振り上げるフィニッシュを決めきれず、羽生が銀盤に崩れ落ちる。10秒、いや15秒。うずくまったまま動けない。死力を尽くしたものの、宿敵チェンには届かなかった。

 「実りある試合でした。勝負には負けたけど、自分の中の勝負には勝てた。ネーサンが素晴らしい演技をしなければ強くなろうと思えなかった。感謝しています」

 誕生日を祝うボードが客席で揺れる。この日、一つ年を重ねたスケーターは攻めに攻めた。現行ルールでは初めて4種類5本の4回転を投入。パスポートの盗難に遭ったため、合流が遅れたジャンプコーチのジスラン・ブリアン氏と握手を交わし、リンクに繰り出した。

 冒頭の4回転ループに続き、試合で2年ぶりに封印を解いた4回転ルッツも鮮やかに決める。前半は完璧な流れながら、終盤にかけて息が切れた。4回転トーループを皮切りとした3連続技は3本目が回転不足に。最後に予定したトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の連続技は単発の1回転半にとどまった。

 SPに続きほぼ完璧に舞った好敵手には、3月の世界選手権に続いて敗れた。合計点の差は、倍近い43・87点まで広がった。背中は遠のいたようにも思えるが、羽生の感覚は違う。「そんなに遠くない。必要なものが見えている」。自身最高難度の演目に挑み、5本の4回転を成功させたからこそ、つかめた手応えがあった。

 スケートにのめり込んだ幼少期から憧れたトリノ。2006年の冬季五輪会場となった銀盤で、前人未到のクワッドアクセル(4回転半)にも公式練習で挑み、近い将来の完成を予感させた。「これからこの構成で滑り込みができて、またつらい練習ができると思うとわくわくします。ここからまた強くなれる」。4回転ルッツや4回転ループの精度が上がれば、今は組み込んでいないSPでもこの先で投入する可能性を示唆した。

 19日に開幕する全日本選手権(国立代々木競技場)には、4年ぶりに出場する。25歳をどのような1年にしたいかと問われ、力強い一言で返した。「勝ちます」。 (鈴木智紘)

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