15年ぶり優勝目前の横浜M、世界最大級マカオカジノに身売りか 鹿島のメルカリ売却に続き、Jリーグ名門がまた…

 またも日本サッカーの名門が身売りか。明治安田生命J1リーグで、2004年以来の優勝に王手をかけた横浜F・マリノスに、メーンスポンサーを務める日産自動車の撤退説が再燃している。経営難からクラブ運営の主導権はすでに失われ、今回の躍進も世界各国のクラブを傘下に収める英国のサッカー事業グループによるもの。7月には常勝軍団の鹿島がフリーマーケットアプリ大手のメルカリに身売りして大きな衝撃が走ったが、国際都市・横浜のクラブには海外の超巨大企業が触手を伸ばしている。(夕刊フジ編集委員・久保武司)

 昨季はJ2降格の危機にも瀕したマリノスだが、今季の戦いぶりは実に見事だった。

 GKまで守備ラインを上げて攻撃の駒にする、過去のJリーグでは例のない「超攻撃的布陣」を軸に速攻を展開。先制した試合は19勝2敗1分と圧倒的な強さを誇る。

 リーグ終盤に入り破竹の6連勝中。ホームで迎える最終節のFC東京戦(7日、日産ス)は大差で敗れない限り優勝だ。チケットはすでに完売。15年ぶりの歓喜に立ち会おうと、6万5000人の大観衆が詰めかける。

 そんな祝賀ムードで盛り上がる横浜の街に、水を差すような身売り説。これまで何度も浮上してきたのと同様、背景にあるのは日産の経営難だ。

 採算の合わないスポーツ部は容赦なく斬ってきた日産だが、マリノスは1972年に前身の日産自動車サッカー部が創部されて以来、別格扱いされてきた。日本リーグ時代にはライバル、読売クラブ(現J2東京V)に「追いつき、追い越せ」と選手のプロ契約をいち早く進めた。ただ、近年の実態はかなり異なる。今や専用練習場すらない放浪生活。サッカー部時代を知るチーム内でも数少ない関係者らは「もう今のマリノスは昔のマリノスではない」とはっきり口にする。

 5年前には事実上、日産の手を離れている。08年のリーマン・ショックから抜け出せずあえいでいた日産にとって、13年1月期に赤字が17億円近くまでふくれあがったマリノスは足かせでしかなかった。当時トップだったカルロス・ゴーン氏が、10億円の損失補填を決めて土壇場で倒産こそ免れたが、「もう持続できない」と資本提携先を探すことになった。

 手を挙げたのがイングランド1部の強豪、マンチェスター・シティの持ち株会社であるシティ・フットボール・グループ(CFC)。先月28日にインドリーグのクラブの株式を取得し、世界で8つのクラブの運営に参画中だ。

 マリノスとは14年にタッグを組んで以来、強豪リーグで培ったノウハウを注入。チーム株式の20%弱を保有する。

 その効果もあって、せっかく久々の優勝に王手をかけたのだが…。22年度までに、世界規模で1万2500人規模の人員削減を計画中の日産にしてみれば、マリノスを売りに出す絶好の機会が訪れたともいえる。

 クラブの決算公告によると、17年1月に930万円あった純利益が今年1月には238万円まで目減り。加えて現金で返済しなければならない流動負債は増えている。今後も台所事情が劇的に改善する見通しはないが、今回の優勝で3年総額22億円の賞金が入る。いわば、買収先との縁談で格好の持参金となるのだ。

 Jクラブの買い手は今や引く手あまた。抜群の費用対効果のよさがその理由だ。7月にリーグ屈指の強豪、鹿島がメルカリに身売りした際、チーム株式の61・6%の譲渡金が約17億円と判明すると、「安すぎる」という声が圧倒的だった。ところが、Jクラブ関係者は「交渉の詳細をみると、安いといえないデータが完璧に並んでいたそうです」と明かす。

 そんな鹿島もマリノスも、母体は日本の伝統的メーカー企業。歩んできた道は極めて似ている。ただ、鹿島はメーンスポンサーの住友金属が12年に新日鉄と統合すると、「住金が単独でやってきたときと、アントラーズの空気が違ってきたのは確かです。時代の流れですよね」と元住金幹部。身売りなんてあるわけないとみられてきた名門に、身売りの機運がにわかに高まったのだ。

 次はマリノスの番だとしても不思議はない。外堀は着々と埋まりつつある。ユニホームの鎖骨部分に入った見慣れないロゴは、7月にトップパートナー契約を結んだメルコリゾーツ&エンターテインメントジャパンだ。

 香港の親会社はマカオのカジノ経営権を持つ、世界最大級の統合型リゾート(IR)企業。日本でのIR解禁を見据え、誘致に積極的な横浜市での開発に、すでに100億ドル(約1・9兆円)の投資を決めている。

 カジノをはじめとする横浜の娯楽産業を手中に収める一環として、街を代表するサッカークラブに関心を寄せるのは、自然な成り行きだろう。

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