WADA判断に強制力 ロシアのドーピング問題

 ロシアは何も変わっていなかった。WADAのコンプライアンス審査委は、RUSADAから提供されたデータは矛盾だらけで、多くの問題箇所が削除されるなど「極めて深刻」な改ざんがあったと断定した。ロシアが国として来年の東京五輪・パラリンピックに参加することは極めて厳しくなった。

 前回リオデジャネイロ大会とは大きな違いがある。WADAは当時もロシアの国ぐるみの不正を認定したが、IOCやIPCには同国選手団の排除を検討するよう促す「勧告」しかできなかった。その結果、IOCは全面除外を避けて各競技団体の判断に委ねた。一方、IPCは大会からの締め出しを決断するなど、対応が分かれた。

 こうした反省もあり、WADAは18年4月、規則を改定し、処分に強制力を持たせた。改定した規則に署名しているIOCはWADAの判断に従うことはもちろんだが、それ以上に「スポーツの高潔さ」や「反ドーピングへの公共の信頼」を保つ上で、自らが主導的な役割を果たすことが必要だろう。

 疑惑発覚から約5年。スポーツの価値や健全性をおとしめるドーピングとの戦いに出口はみえない。反ドーピングへの取り組みは「クリーンな大会」を掲げる東京大会の成否にも関わるだけに、「東京」としても検査体制の整備など、準備に万全を期さねばならない。(森本利優)

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