昨オフはソフトバンク、今オフは巨人が惨敗 国内FA市場は「金銭よりも活躍の場が最優先」に

【江尻良文の快説・怪説】

 国内FA市場が2年連続で大異変。平成最後の昨オフ、ソフトバンクがオリックス・西と西武・浅村の獲得に失敗。令和元年の今オフは巨人が楽天・美馬学投手(33)、ロッテ・鈴木大地内野手(30)の2人に断られた。その裏にはFA選手の意識改革が見え隠れする。

 「金銭的条件よりも活躍の場が問題」という思いが見え隠れする。昨オフ、西が選んだのは阪神、浅村は楽天。大正解だった。平成最後の昨季、共に最下位だった阪神と楽天は今季Aクラスの3位になり、クライマックスシリーズ(CS)に出場した。

 その原動力になったのが西と浅村だ。いち早く、しかも最高の条件を提示したソフトバンクを選択しなかった。そのソフトバンクはペナントレースこそ2年連続2位。西武の後塵を拝したものの、下克上で日本シリーズ連覇、通算3年連続日本一を達成している。

 育成からもニューヒーローが相次ぎ、12球団一の飛び抜けた巨大戦力を擁するソフトバンクを回避した阪神・西、楽天・浅村は賢明だった。先発投手不足だった阪神、チームリーダー不在の楽天で、待望された存在だったからこそ、期待通りの活躍ができた。

 そして、今年は巨人を断った楽天・美馬のロッテ入りとロッテ・鈴木の楽天入り。共にマスコミ、ファンの注目度が12球団一高く、プレッシャーのかかる巨人でなく、知り尽くしたパ・リーグ球団を選択した。

 結果的に、楽天・美馬とロッテ・鈴木の交換トレードのようなもの。どちらもライバル意識を持って新天地で競い合うだろう。2年連続して「お金よりも活躍の場最優先」という、国内FA市場になったのだ。

 「そもそもFA導入は移籍の自由、活発化が目的だったはずだ。それがいつの間にか、選手の年俸、待遇アップになってしまっている」

 こう喝破したのは、ソフトバンク・王球団会長だ。そして、西、浅村のダブル獲得失敗の際に「ショックはないよ。かえって若い選手にチャンスができたのだから、若い選手が頑張ればいいだけだ」と言っていた通りの3年連続日本一。

 昨年のソフトバンク、今年の巨人惨敗の国内FA市場を見ると、本来の意図通りに正常化されたともいえるだろう。(江尻良文)

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