巨人、FA不敗神話崩壊は“吉兆” 美馬、鈴木大地獲得ならずも意に介さぬ原監督

 FA戦線で無類の強さを誇ってきた巨人が、今オフの争奪戦は2連敗で打ち止め。伝統球団に何が起きているのか。

 「もう打ち切り」。大塚球団副代表編成担当は18日、FA戦線からの撤退を宣言した。先発右腕の楽天・美馬、内外野の複数ポジションを守れるロッテ・鈴木の獲得に動いたが、2人とも交渉は不調に終わった。

 巨人が公式に手を挙げたFA戦士を、米大リーグ以外の他球団にさらわれた例はない。というのも、水面下で調査や調整を徹底して、合意が確実になった段階で獲得の意思を表明するのが、メンツにこだわる球界の盟主の「FA不敗神話」のからくりだったからだ。その裏側で、秋波を送っても相手にされなかった大物選手は数知れない。

 18日には山口に球団初のポスティング移籍を認めたが、これも形ばかりの「不敗神話」の副産物だろう。2016年オフ、山口とのFA交渉に手応えを得て公表したが、争奪戦で劣勢になるや“神話崩壊”を恐れ、禁断のポスティング条項を飲んでしまったのだ。

 同オフには、補強リストになかった陽岱鋼も、急きょ親会社に獲得を命じられ、合意間近のオリックスを5年総額22億円(推定)という法外な提示で逆転した。いずれもチームを強くするという本来の目的から離れ、“成果報告書”を意識した「ためにする補強」だ。

 ところが今秋、全権監督の鶴の一声でFA戦略は一変。原監督は「行くなら正々堂々と行った方がいい。どちらかというと、コソコソとジャイアンツはやるでしょ。そういうのじゃなくてね」とガラス張りにした。

 美馬の4度目の交渉には自ら出馬も、2日後にロッテ行きが決定。指揮官のメンツを気にして勝ち戦にしか担ぎ出さなかった従前なら、大騒ぎになっていた事態だが、本人は意に介していない。

 必要だと思えば獲りにいくが、巨人の評価に納得してもらえないなら、縁がなかったということ。ゲレーロとの残留交渉も、条件面の隔たりが大きいため打ち切った。経緯説明で大塚副代表が発した「費用対効果」の響きは、金満球団にとって隔世の感がある。FA不敗神話の崩壊は、地に足がついたチームづくりの証しだ。(笹森倫)

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