ゼムノビッチ氏「信じられない試合だった」ベネズエラに完敗の日本代表を分析

 国際連盟(FIFA)ランキング28位の日本は19日、同26位ベネズエラに1-4で完敗した。FWサロモン・ロンドン(30)=大連一方=にハットトリックを許すなど、国際Aマッチでは65年ぶりに前半だけで4失点。J1清水の元監督で、日本と海外サッカーに精通するズドラヴコ・ゼムノビッチ氏(65)が、敗因と日本代表が進むべき道を説いた。

 信じられない試合だった。テストマッチの意味合いの深い試合だったが、練習試合よりもひどかった。特に目についたのが最終ライン。まったくといっていいほど、機能していなかった。

 1失点目の場面。右サイドのDF室屋成(25)=FC東京=が、自陣エリア内での相手の対応で軽率な守備をみせた。MFソテルド(22)=サントス=の切り返しに完全にふられてしまい、クロスを許して失点。Jリーグには、そうはいないレベル、タイプの選手とのマッチアップで苦戦を強いられた印象がある。

 室屋を含めた両サイド。そして植田直通(25)=セルクル・ブリュー=と畠中槙之輔(24)=横浜M=の両センターバックも不安定だった。植田は吉田麻也(31)=サウサンプトン=や昌子源(26)=トゥールーズ=といった“声の出せる”選手のサポートがあって生きるタイプ。畠中、植田ともに周囲への指示が少なく、それが守備の混乱を生んでいった。経験値の少ない選手を試すのなら、経験値のある選手と一緒にプレーさせ、基準を図るのが得策だっただろう。

 もちろん、最終ラインだけの責任ではない。前線の鈴木武蔵(25)=札幌=、浅野拓磨(25)=パルチザン=は持ち味の裏への飛び出しがみられなく、2人のところでボールも収まらなかった。簡単にロストすることで、ベネズエラの波状攻撃を受ける要因となってしまった。たらればになるが、大迫勇也(29)=ブレーメン=がいたら、展開は違っていただろう。あらためて大迫の替えがいないという問題が示された。

 17日のU-22(22歳以下)日本代表戦では、同コロンビア代表に0-2で敗戦。監督というものは、勝っても負けても試合の内容を分析し、なかなか切り替えのできないもの。2日後のA代表の試合に臨む森保一監督(51)にとっても、ベネズエラ戦は戦う前から難しい試合だったはずだ。

 欧州など世界では、A代表と五輪代表は別の監督が指揮を執るのが普通だ。両方を担う森保監督にかかる重責は大きく、それがプレッシャーとなり足枷になりかねない。2チームの監督の兼任は想像以上に難しい。例えばだが、森保監督がテクニカルアドバイザーの役割を担い、五輪監督には別の指導者をつけるのも一つの手段。

 就任以降から決して負けが続いているわけではない。ただ、今回はこうして問題点が浮き彫りになった。来年の東京五輪にむけて“二足のわらじ”で走り続けさせるのか。日本協会も考える時期がきていると、私は思う。

ズドラヴコ・ゼムノビッチ

 (Zdravko Zemunovic) 1954年3月26日生まれ、65歳。ユーゴスラビア(現セルビア)出身。現役時代は国内リーグなどでプレー。引退後はオシム元日本代表監督が当時指揮を執っていたチームの2軍監督などを歴任し、95年に初来日。鳥栖(当時JFL)のコーチを経て2000年12月に清水の監督に就任した。VONDS市原(関東1部)の監督を経て、現在は千葉県協会テクニカルアドバイザーを務める。

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