荒っぽいサモアには“ダーク田中”が効く!チームのために「オフサイド誘う」/ラグビーW杯

 ラグビー・日本代表合宿(1日、東京都内)W杯3大会連続出場のベテランSH田中史朗(34)=キヤノン=が、持ち前の経験値でサモア撃破を目指す。敵はFW陣が強力ながら、運動量では日本が優勢。さらに、1次リーグA組の全5チームが2戦を終え、反則数はトップの23と規律面で乱れが目立つ。相手の反則を誘えば勝利にも近づく。ずる賢いプレーを率先する“ダーク田中”となって、チームを3連勝に導く。

 10月とは思えない日差しが注ぐピッチと同じく、大金星の熱は冷め切らない。午前中に約2時間半、一般非公開の中で調整を終えたSH田中は、世間の関心の高まりぶりに満足げだった。

 「ニュージーランド代表のオールブラックスになった気分です」

 移動をすれば声をかけられる。強豪の南アフリカを破った前回大会も脚光を浴びたが、優勝候補のアイルランドに逆転勝ちした今回の注目度は勝るとも劣らない。「勘違いしないように。今まで通り準備したい」。気持ちを冷静に切り替えた。

 目線の先はもちろんサモア戦。「個人個人は強いが、日本の方がチーム力はある」と田中は自信をのぞかせた。

 チーム力を高めるため、宿舎内には2つの甲冑(かっちゅう)が持ち込まれた。一つは大きく赤い「カツモト」、もう一つが黒く小さい「ダーク侍」。自己犠牲の精神の象徴である前者は昨年6月からあるが、後者は今年6月の宮崎合宿から加わった。

 ジョセフ・ヘッドコーチが「強豪に勝つためにはずる賢いプレーも必要」という意味を込めた特注品で、顔は映画「スター・ウォーズ」の悪役ダース・ベイダー。試合後には選手に「ダーク賞」が与えられる。

 田中は「僕自身はダークじゃない」と苦笑いしたが、密集でパスを出したふりをして相手のオフサイドを誘発するのはSHの役目。「ダークな部分を一人一人が意識している。オフサイドもチームのために誘っている」と、“ダーク田中”が顔を見せた。

 8強入りへは、4トライ以上に与えられるボーナスポイントを獲得しての勝利が重要。「チャンスがあればトライを心掛けたい」。過去2戦は後半に途中出場し、チームを引き締めた。小さな巨人が世界の巨人集団に立ち向かう。 (阿部慎)

■田中 史朗(たなか・ふみあき)

 1985(昭和60)年1月3日生まれ、34歳。京都府出身。洛南中1年でラグビーを始め、伏見工高-京産大-三洋電機(現パナソニック)を経てキヤノン入団。ニュージーランドに留学した2012年にオタゴ州代表入りして、13年にはスーパーラグビーのハイランダーズでプレーした。08年に日本代表に初選出され、通算72キャップ。166センチ、72キロ。

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