ラグビーW杯 「やんちゃ坊主」名手に成長 司令塔・田村優

 「勝つと信じて準備してきた。ゲームプラン通りに運べた」

 リードされる展開となった前半にペナルティゴールを3本成功させ、後半の逆転トライ後には難しい角度のキックを確実に決めた司令塔、田村優(30)は試合後、力強く語った。

 父・誠さんは帝京大からトヨタ自動車へ進み、引退後は監督も務めた元ラグビー選手。中学までサッカーをしていた田村も国学院栃木高(栃木)に進学、同じ道を選んだ。

 「目立ちたがりでお調子者。でも、注目を集めるスター性を持っていた」。同校ラグビー部の吉岡肇監督(58)はこう振り返る。

 サッカー仕込みの華麗なステップで相手をかわす一方、パスを出さずにボールを奪われることもあったが、吉岡監督から「1人で目立ってもだめ。自分がタックルを受けながら味方にパスをつなぎ、得点につなげることを考えろ」とラグビーの「自己犠牲の精神」を説かれ、成長を遂げた。

 天真爛漫(らんまん)で負けず嫌い。体育祭のサッカーで自分のチームが負けると、人目をはばからず泣きじゃくった。3年の春季大会に7年ぶりの県大会敗退を喫すると責任を感じて主将の座を仲間に譲り、迎えた秋季大会で鬱憤を晴らす活躍を見せ、ライバルにリベンジしてチームを花園に導いた。

 名門・明治大を経てトップリーグ入りし、日本代表に。前回W杯にも出場し、「やんちゃ坊主」(吉岡監督)は、日本を代表する名手に成長した。

 20日に行われた初戦のロシア戦の後、「(重圧で、試合までの)10日ぐらい、まともに眠れなかった」と明かした田村。吉岡監督も「あんなにふてぶてしいやつが、がちがちに緊張していた」と語るほどだったが、大一番のアイルランド戦では、得意のキックで歴史的勝利に貢献した。

 「1試合目(のロシア戦)より、今回の方が硬さが取れてきた。今後はもっと、本来の創造性あふれるプレーが見られるはず」。恩師はこう期待を寄せる。

 「僕らは準々決勝、準決勝、決勝も目指している」。試合後、力強くこう言い切った田村。その視線は、日本史上初のベスト8の「先」を見据えていた。(橋本昌宗)

田村優(たむら・ゆう) 平成元年生まれ。キヤノンイーグルス所属。W杯は前回に続き2回目。ポジションはスタンドオフ。181センチ、91キロ。

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