フッカー堀江翔太はトライゲッター 一息も入れずに走り出す

今からでも間に合う!ラグビーW杯の基礎知識

 かつては、フロントロー(FW第1列)のプロップとフッカーが1試合でボールに触れる回数はせいぜい1、2回。

 タックルされたらボールを置くか、パスするしかなかった時代で、密集に両軍FWが集まってボールを獲得し合う。押し合い、もみ合いでバックスにいいボールを供給する、まさに縁の下の力持ちだった。

 それが1990年代後半から、世界的に攻撃を継続させようという風潮が高まり、タックルされても素早く体を味方側に回転するプレーが認められるようになりラグビーが変わった。タックルされて倒れても体を味方側に向けて腕を伸ばしボールを出しやすいようになったのだ。そうなると、FW全員が密集に突っ込む必要もなくそばにいるバックスのコンタクトで十分というケースが多くなる。

 そのバックスが抜けたラインにフロントローが入ってパスを受ける。今では「1試合で20回くらいボールに触ります」とプロップの稲垣啓太。

 もはや縁の下の力持ちにとどまらず、立派な攻撃要員になっている。さらにフッカーはラインアウトでのスローイングもあり、ボールに触れる機会はより多くなる。

 特に堀江翔太(パナソニック)はトライをよくあげるフッカーだ。その理由は運動量の多さにある。スクラムが終わった瞬間の、堀江の動きに注目してほしい。スクラムを全力で押してボールが出ると、だいたいFWはホッと一息いれてからボールが動いている方向に走りだすが、堀江は俊敏だ。スクラムがほどけると、すぐ攻撃方向に一歩踏み出す。

 この一歩でライン攻撃に追いつき、最後にパスを受けてトライとなる。帝京大時代はフランカーやNO8を務め、走力とバックスをフオローするコツ、パスを受けるタイミングなどをよく知っている。

 またラインアウトからモールを組んでゴールに進むとき、最後にモールに加わる堀江がインゴールでボールを押さえてトライすることも多い。

 スクラムを押しながら、足でボールをかき出す(フッキング)ことからフッカーと呼ばれるポジションだが、相手にすねを蹴られることがしょっちゅうだ。すね当てを付けていても千の傷が刻まれる。痛みをこらえてスクラム後、すぐに走りだすのはつらいだろうが、堀江は忠実にそれをやる。

 「すぐに走り出さねば…と意識しないと、一歩が出ない」。“小さな一歩”を大切にするフッカー堀江は、本番でも思わぬところから走り出てきてトライするに違いない。(スポーツジャーナリスト・柏英樹)

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