トランプ劇場に国技館総立ち!「アサノヤマ」大統領杯授与/夏場所

 大相撲夏場所千秋楽(26日、両国国技館、観衆=1万936)令和初の国賓として来日中のドナルド・トランプ米大統領(72)は26日、安倍晋三首相(64)とともに東京・墨田区の両国国技館を訪れ、大相撲夏場所千秋楽を観戦した。現職米大統領の大相撲観戦は初めて。升席に設置された1人掛けソファに座って楽しむと、表彰式では土俵に上がり、初優勝した西前頭8枚目朝乃山(25)に「米国大統領杯」を授与。異例の厳戒警備の中、日本の「国技」を堪能したトランプ氏は「素晴らしい」と満足感を示した。

 世界を動かすトップリーダー、トランプ大統領も神が宿る土俵の中では郷に従った。

 米国大統領による初の大相撲観戦。すべての取組を終え、表彰式が始まった。安倍首相が初優勝の朝乃山に内閣総理大臣杯を贈り、そのまま土俵内に残った。そして、今回の観戦に合わせて贈呈が決まった「米国大統領杯」が運び込まれる。

 西方に白木の簡易式乗降階段が設置され、トランプ氏が土俵へ足を踏み入れて一礼した。土足厳禁が不文律の土俵とあって、スーツにピンクのネクタイを締めた同氏も黒色のスリッパに履きかえていた。

 「スモウ グランドチャンピオン」。左手に賞状を持ち、英語で栄誉をたたえ「アサノヤマ」としこ名も読み上げた。授賞の日付として「レイワ・ワン(令和元年)」と口にした。

 約137センチ、30キロの大統領杯を直接手渡された朝乃山は「(大統領は)でかかった。しこ名をよんでくれてうれしかった」。大統領は身長190センチ。優勝力士より3センチ高かった。

 異例ずくめの初観戦だった。この日午前、千葉・茂原市の「茂原カントリー倶楽部」で安倍首相とゴルフをプレーしたトランプ氏は、午後4時57分に国技館の通路に姿を見せた。羽織はかま姿の日本相撲協会・八角理事長(元横綱北勝海)に先導され、安倍首相と並んで手を振りながら進んだ。

 満員の1万936人が立ち上がって拍手を送り、スマートフォンで撮影する中、あぐらをかけないとされるトランプ夫妻への配慮で、土俵に誓い升席最前列に設置された1人掛けソファに首相と並んで着席。腕を組み、真剣な表情で結びまでの5番を観戦した。

 この日の国技館は厳戒態勢が敷かれた。入館時には入念な手荷物検査が行われ、多くの警察官らが警備に当たった。このため、懸念された観客席から座布団が舞うシーンはなかった。

 相撲と日米外交。その端緒は、江戸時代までさかのぼる。黒船で神奈川・浦賀に到着したペリー提督が嘉永7(1854)年3月に日米和親条約を締結。一行を迎えた中に力士もいた。

 国技館での1時間近い滞在を終えたトランプ氏は、東京・六本木の炉端焼き店で行われた首相との夕食会で「本当に楽しんだ。見る価値のあるものだった。ずっと相撲を見たかった。素晴らしい」と喜んだ。

 トランプ氏の後方で土俵を見届けた八角理事長は、米国大統領杯の授与について「日本相撲協会を代表して深く感謝申し上げます。大統領杯は来年以降も5月場所の優勝力士に授与されることになりました」とコメントした。日米友好が「かたち」として土俵へ残る。 (奥村展也)

★シラク氏は5回観戦

 欧州随一の知日派として知られ、日仏関係を進展させた元フランス大統領のシラク氏は、大統領を退任するまでに大相撲を5回ほど観戦。優勝力士に贈る「フランス共和国大統領杯(シラク杯)」を創設した。力士の名を把握し、勝負を記録するなど理解が深く、より近くで見たいと1階席で観戦。愛犬に「スモウ」と名付けるほどだった。

 昭和61年に英国チャールズ皇太子とともに来日したダイアナ元妃は、寛仁親王殿下、同妃信子さまと夏場所初日を観戦。著名人では米女優のシャロン・ストーンが平成18年の秋場所、25年には元ビートルズのポール・マッカートニーが九州場所を楽しんだ。

★米国大統領杯

 トランプ大統領が幕内優勝の朝乃山に贈った銀色に輝くトロフィー「大統領杯」は、米ホワイトハウスによると高さ約54インチ(約137センチ)、重さは60~70ポンド(約27~32キロ)で、約40キロの総理大臣杯よりも10キロほど軽いとされる。大統領の紋章が刻印され、上部には米国の国鳥であるワシがあしらわれている。

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