大谷選手に刺激受けた広島・鈴木誠也選手に期待

【大前恵の勝つための食育】

 明治の栄養サポート契約選手に、新たに頼もしいパートナーが加わってくれました。セ・リーグで3連覇を果たした広島の鈴木誠也選手です。

 いまや日本代表「侍ジャパン」でも主力を担う鈴木選手と明治との関わりは2014年にさかのぼります。21歳以下で構成する日本代表が派遣された同年9月のアジア選手権に、後輩の管理栄養士が帯同したことで、接点が生まれました。

 鈴木選手は当時、まだ無名の選手でした。私はこのとき、フル代表が戦う国際大会「プレミア12」に同行中で、スタジアム内のサロンでテレビ中継を見ていました。鈴木選手が画面に映ると、広島のチームメートだった丸佳浩選手(今季から巨人)や菊池涼介選手が「すごい才能がある選手」と話していたことが印象的でした。

 鈴木選手はアジア選手権の大会中、後輩の栄養士に「体を大きくしたい」と話していたそうです。まだまだ栄養についての知識は乏しく、他の選手の見よう見まねで、何となくバランスの良い食事を心がけていたような時期でした。後輩は、筋肉を作るタンパク質をたくさん摂取する大切さを説き、練習後や就寝前にプロテインを取ることを勧めたそうです。

 アドバイスを忠実に守った鈴木選手は15年オフまでに体重が15キロ増え、パワーを兼ね備えた強打者の礎を築いていました。実際、広島が25年ぶりのリーグ優勝を果たした16年は、129試合に出場して29本塁打を放つなど大活躍で頭角を現しました。

 そんな彼に大きな刺激を与えたのが、同学年の大谷翔平選手でした。鈴木選手は、当時はまだ日本ハムに在籍していた将来のメジャーリーガーとともに、16年秋の強化試合で侍ジャパンに招集されました。私もこのとき、チームに帯同し、初めて鈴木選手と会話を交わしました。

 期間中、鈴木選手は大谷選手とほとんどの時間をともに過ごし、お互いの部屋も行き来して会話する仲になりました。すでに明治と栄養サポート契約を結んでいた大谷選手の食事への高い意識に影響を受け、「僕もちゃんと勉強したいです」と願い出てきました。

 私は若きスター候補が栄養に意識を向けてくれたことがとてもうれしく、選手宿舎での食事後、マンツーマンでアドバイスを送りました。鈴木選手は栄養が偏っていたわけではなく、野菜や乳製品もしっかりと食べていました。しかし、なぜ乳製品を取るのか、野菜も食べるのかという理由までは考えず、何となく食事をしていたと打ち明けてくれました。

 そのような状態なので、寮生活や代表遠征の際など、食事が出されているときはバランスよく食べますが、オフに入ると、コンビニ弁当やカツ丼で空腹を満たすことも珍しくありませんでした。

 「どんなときでも、栄養はフルコース型で」といつものように指導をすると、鈴木選手はコンビニでも魚肉ソーセージを3本買ってタンパク質を補ったり、サラダや乳製品も買って、携帯電話のカメラで撮影して送ってくるようになりました。

 16年以降は体重コントロールに気を配り、栄養バランスを整えた上で、白米など炭水化物を調整。17年8月のDeNA戦の守備中に、フェンス際の打球をジャンピングキャッチした後の着地で右足首を骨折したアクシデントこそありましたが、ここ2シーズンはいわゆる筋肉系のけがはありませんでした。サポート契約を結んだことで、今後はプロテインなど物品提供も可能になりました。

 鈴木選手はものすごく練習が好きで、いつも余力を残さないほどのメニューをこなします。栄養サポートによって、納得いくまでめいっぱい練習できるコンディショニング作りに貢献していきたいと思っています。

 チームの4連覇が懸かる2019年シーズンは故障も完全に癒え、さらなる飛躍が期待されます。万全だったら、どれくらい活躍するのだろうと今から楽しみです。

 ■大前恵(おおまえ・けい)1968年1月生まれ。大妻女子大家政学部・食物学科卒業時に管理栄養士の資格を取得。PR会社勤務、主婦を経て、99年に明治に入社。プロ野球やサッカーの選手らを栄養面でサポート。明治がサポートする野球日本代表「侍ジャパン」などの大会や合宿などにも帯同する。

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