蘇らせたルースの記憶 大谷の二刀流に全米熱狂

 大谷が投打で大リーグに与えたインパクトは大きかった。全米30球団の本拠地から選ばれた30人の記者のうち、1位票を投じたのは25人。「ベーブ・ルース以来」の枕詞(まくらことば)とともに、「二刀流」が見る者の心をつかんだのは明らかだ。

 ニューヨーク・タイムズのタイラー・ケプナー記者は「1919年のルース以来となる20本塁打を放ち、50イニング以上を投げた」と伝説の選手を引き合いに出し、「10試合の登板だけだったが、二刀流でスターになれると証明した」と書いた。

 「新人王」のタイトルは米国のファンにとって特別な響きがある。1947年に制定され、初めて受賞したのが初の黒人大リーガー、ジャッキー・ロビンソンだからだ。

 イチローがシーズン最多安打に挑むことで埋もれかけたジョージ・シスラーの名前を掘り起こしたように、大谷もルースの記憶をファンによみがえらせた。

 打率.297で27本塁打を放ったヤンキースの内野手アンドゥハーに、大谷は数字で劣る。それでも新人王の栄誉にあずかったのは、ルース同様に挑戦だけで終わらせなかったからだ。

 米メディアは当初、「二刀流」に懐疑的だった。オープン戦では防御率27.00、打率.125。投打ともに散々な内容に「高校生レベル」と酷評されるなど、批判的な論調も目立った。

 マイナー落ちの危機にある中、4月3日、本拠地でのインディアンス戦の一回、初本塁打となる3ランをかっ飛ばした。エンゼルスナインは「サイレント・トリートメント」で手荒く祝福したが、大谷がナインに認められた一撃ともいえる。

 ときには160キロ台の剛速球で強打者をきりきり舞いさせ、大本塁打を放ち、俊足を飛ばす。漫画やアニメの世界から飛び出したような若者による「SHO TIME」は、エンゼルスファンだけでなく他球団のファンをも魅了した。

 右肘靱帯再建手術を受けた大谷は2年目の来季は投手を“封印”し、打者に専念。新しい境地を切り拓く。(江目智則)

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