巨人OB会長・柴田勲氏の名球会入りの裏に“長嶋流アシスト” チームの勝利より2000本安打

 【江尻良文の快説・怪説】

 東京ドーム21ゲート右側の野球殿堂博物館で開催中の企画展「“ミスタープロ野球”プロ入り60周年記念『昭和、平成と長嶋茂雄』」(5月20日まで)の関連イベントとして、同4日に同館内で巨人OB会長の柴田勲氏(74)のトークショーが行われる。

 V9巨人では“赤い手袋”の盗塁王、さらにはONの後の5番を打つこともあった強打のスイッチヒッターとして鳴らした柴田氏。第1次長嶋政権下では監督と選手の関係だった。

 そんな柴田氏に長嶋氏とのエピソードを語ってもらおうというイベントだが、筆者には生涯忘れられない思い出がある。柴田氏の名球会入りにまつわる長嶋監督(当時)の細やかな配慮だ。

 柴田氏の通算2000本安打は大難産だった。V9時代から担当していた先輩記者が長嶋監督に「柴田の2000本安打より、チームの勝利でしょう。なぜ打てない柴田を使い続けるんですか。そもそも柴田は川上さんの子分で、ミスターの足を引っ張ることもやっているじゃないですか」と直言したほどだ。

 だが、長嶋監督はこう反論した。「それは間違っている。2000本安打を記録して名球会入りするかどうかで、ユニホームを脱いでからの野球人生は天と地の差があるんだよ。なんとか達成させてやりたいんだ」

 監督にとってチームの勝利より大事なものはないはずだが、選手のセカンドライフまで考えて、記録達成をアシストする。長嶋監督の本音を聞き感銘を受けた。

 V9時代のエースとして君臨した堀内恒夫氏の通算200勝達成のときにも、同じ長嶋流アシストがあったことは言うまでもない。現在の巨人選手も毎年宮崎キャンプで、終身名誉監督の長嶋氏から熱い激励とアドバイスを受けている。ミスターのメモリアルイヤーの今季、4年ぶりのリーグ優勝と6年ぶりの日本一をプレゼントして恩に報いてほしい。(江尻良文)

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