「 気づいて!涙液トラブル啓発委員会 」発足カンファレンスを開催

気づいて!涙液トラブル啓発委員会

 コロナ禍における目の不調に関する実態調査結果も発表

 東邦大学医療センター大森病院 眼科 堀裕一先生、順天堂大学医学部附属順天堂医院 眼科 猪俣武範先生、ケイシン五反田アイクリニック 内野美樹先生、東京歯科大学市川総合病院 眼科 山口剛史先生をメンバーとする「 気づいて!涙液トラブル啓発委員会 」 Supported by 参天製薬株式会社(以下、当委員会)が2020年8月17日発足し、カンファレンスを実施いたしました。

 当委員会では、目の健康に対する意識の低い方が自身の目のトラブルに気づき、具体的な対策をとっていただくためのきっかけづくりとして 「目の疲れ、かすみ、不快感は、実は涙の不安定性や、涙液のトラブルが原因の可能性」があるという情報を発信してまいります。あわせて、涙の不安定性で起こる目の不快症状のことを「涙液トラブル」と命名し、より多くの方に興味を持っていただけるよう啓発活動を行ってまいります。公平な視点や立場から目のトラブルと涙の関係性についての正しい知識やエビデンスを発信することで、目の健康を意識する方が増えることを目指しています。

 ※「涙液トラブル」に関する情報はWEBサイトでもご確認いただけます。 https://ruieki-trouble.com/

 発足に際し行われたカンファレンスでは冒頭に、主幹の東邦大学医療センター大森病院 眼科 堀裕一先生より「現代社会では、目のトラブルが生じる環境に長時間さらされ、涙の不安定性が原因で起こる目の不快症状を抱えているにも関わらず、そのことに、気づいてない方が多く見られるため、こうした方々が「涙の健康」を意識し、日常的に涙のケアが必要だと考えるきっかけづくりが重要だと捉えました。」と、当委員会発足のきっかけをご説明いただきました。そして、「目の疲れ、かすみ、不快感は、実は涙の不安定性や、“涙液トラブル”が原因の可能性があり、そして、その“涙液トラブル”は日常的なトラブルであることを理解していただくために、公平な立場で正しい知識やエビデンスを発信していきたい」という当委員会の活動概要のご説明にあわせ、開会挨拶をただきました。

 その後、順天堂大学医学部附属順天堂医院 眼科 猪俣武範先生からは「涙液トラブルとは?」をテーマに、涙液トラブルの概要を「“涙液トラブル”とは涙の不安定性が原因で起こる目の不快症状であり、目の乾き、疲れ目、かすみ目など、目の不快症状の根本原因の一つは、涙の分泌量や成分が不安定になることだと考えられる。」とご説明いただきました。次に涙液トラブルとドライアイとの関係性に関して、「“涙液トラブル”はドライアイのリスクファクターであり、涙そのものへのケアが必要」とお話いただきました。

 その上で、「今、『涙液トラブル』が増えている?」をテーマに、「涙液トラブル」を起しやすい人の傾向や、涙液トラブルに関係する様々な要因といった説明内で、「『環境、エアコン、花粉などの環境因子』、『メイク、デジタル作業の増加、コンタクトレンズの装用、夜更かしなどの生活習慣』、『加齢、薬、性別などの個人の因子』が関連する」とお話いただき、「最近では、新型コロナウィルス感染症の拡大によるリモートワーク増などの影響でデジタル作業はさらに増加傾向にあり、1日のディスプレイの作業時間を1日6時間以上する人は、平成10年から20年の統計からも約2倍に増えており、涙液トラブルも増加する可能性がある」ともご説明いただきました。

 また、猪俣先生ご自身が監修を務める「スマホアプリドライアイリズム(R)」で分かったドライアイ未診断者(涙液トラブルの可能性あり)の特徴として、「多くの人がドライアイの症状があるのに、診断を受けないまま症状に苦しんでいる。このドライアイ未診断者は、特に若年の男性が多い」といった結果もご説明いただきました。

 さらに、「涙液トラブルの症状は様々であり、必ずしも目が乾くという自覚症状だけでないので注意が必要であるとした上で、これらの自覚症状は単一ではなく、複雑に症状を併発している。」とお話いただきました。加えて、涙液トラブルのセルフチェックのポイントに関してもご説明いただき、「このセルフチェックの中でも、目を10秒以上開けていられるか我慢する方法は、ご自身でも計測しやすいのでお勧めです」とお話されていました。実際に「『涙液トラブル」で目はどうなる?」といったテーマでは、涙液トラブルを放っておくと、「目がゴロゴロするなどの症状の悪化、視機能の低下、生活の質の低下、労働生産性の低下」などのリスクについても言及されました。加えて猪俣先生ご自身が監修を務める「スマホアプリドライアイリズム(R)」で分かったドライアイの重症化因子として、「コンタクトレンズの装用、デジタル作業の増加、花粉症、喫煙」を挙げ、これらの因子の累積による重症化に注意する必要があり、また、「ドライアイ症状の重症化は抑うつ症状と関連がある」というデータに関してもご解説いただき、涙液トラブルのケアの必要性をご説明いただきました。

 東京歯科大学市川総合病院 眼科 山口剛史先生からは、「涙液トラブルで起こる様々な障害」に関して、「目の障害」「涙液成分の変化」「生産性の低下」という3つのトピックに分けてご説明いただきました。

 「涙液トラブル」で起こる目の障害に関しては、正常な涙液と涙液トラブル時の目の状態を図や写真を用いて具体的にお話しいただきました。「涙液トラブル」で起こる目の障害としては、角膜の傷により「目がかすんだり、ものが見えにくくなる」や、目の充血により「痛覚過敏、急に痛くなる」といった症状なども提示いただきました。

 次に、「涙液トラブル」で起こる涙液成分の変化に関しては、「パソコン作業が多いと、涙に影響はでやすい?」というテーマで、「パソコンを見ながら作業をする時間が長いほど、涙液の中の潤い成分であるムチンが減って涙液トラブルになりやすくなる」など、内野先生の研究結果のデータとともにご説明いただきました。

 最後に、「生産性の低下」に関しては、「ドライアイのない人に比べて、ドライアイの人、ドライアイ疑いの人は、時間管理スコアが有意に低下していることがわかりました。さらに、集中力や対人関係のスコアを検討すると、ドライアイの人は、ドライアイでない人に比べて、有意にこれらの指標が悪化している。」という結果があること、さらには「涙液トラブル」は労働生産性を低下させ、一人当たりの労働生産性では年間65万円の低下があるともお話いただきました。

 続いて、ケイシン五反田アイクリニック 内野美樹先生からは、2020年6月23日(火)~6月25日(木)の3日間で、20~69歳の一般男女を対象に実施をした「男女1000人に聞いた!コロナ禍における目の不調に関する実態調査」に関して、主に、リモートワークと涙液トラブル、並びにドライアイの認知度という2軸をテーマにその結果をご発表いただきました。

 リモートワークと涙液トラブルの調査結果では主に、「新型コロナウィルス緊急事態宣言発令前後のリモートワークの状況を比較すると、リモートワーク実施者が約3倍になったこと、リモートワーク継続者のVDT作業時間は8時間以上で有意に多いということがわかりました。さらに、リモートワークをする前と比較した体の状況としては、リモートワーク実施者の25%以上が目の不調の悪化を自覚していること」など、コロナ禍での目の不調にまつわる結果をご説明いただきました。さらに、OSDI(Ocular Surface Disease Index)とQOL(Quality of Life)との関連に関しては、「OSDIが高いほどQOLが低い」、つまりはドライアイであればあるほど生活の質が下がるという調査結果も発表いただきました。この結果をさらに読み解くと、「リモートワーク継続者のドライアイによるQOLは低い」ということもいえるのでないかといったご説明でした。

 ドライアイの認知度に関する調査結果では主に、「ドライアイは目が乾くことであるといった認識は全体の83%と非常に多い結果にある一方で、ドライアイは慢性疾患であるという正しい認識は約3割、ドライアイは眼科医にて診断されて、適切な治療を受けるべきであるという回答は約6割という結果で、ドライアイが慢性疾患であり、眼科医にて治療を受けるべきという認識は低いと言えます」と、調査結果を発表いただきました。

 (なお、本調査結果に関する詳細は別リリースにてご案内させていただいております。)

 調査結果を踏まえた上で最後に、厚生労働省でも公開している自宅で注意できるテレワーク環境についてお話しいただき、その中でも特に「まばたき、エアコンの風に注意、ディスクプレイの位置をさげる」という3点が涙液トラブルの予防に大切だというお話もいただきました。

 最後に、東邦大学医療センター大森病院 眼科 堀裕一先生より「涙液層別治療」をテーマに、涙液トラブルの解消法としては主に生活環境の見直し(部屋の空調、加湿器、部屋のホコリ)、生活習慣の見直し(パソコン、スマホの使用時間、夜更かし、コンタクトレンズは正しく使っているか、運動不足ではないか)、点眼薬等を使った治療の3点が挙げられるとした上で、今回は点眼薬等を使った治療を中心にご説明いただきました。

 ドライアイ治療の変遷として「以前2010年頃までは、涙の水分量を増やす『水分補充』が主な治療でしたが、2010年以降の現在では涙の足りない成分を補う治療、水分、ムチン、油層といった目の表面の細胞の治療である「涙液層別治療」が主流となり“ドライアイ治療のパラダイムシフト”が起こった」とお話いただき、涙液層別治療の実態についても詳しくご説明いただきました。

 この「涙液層別治療」に関しても、油層、液層、目の表面の細胞と、大きく3層にわけ、それぞれに対する詳しい治療法についても言及いただきました。

 ※赤字は自宅でもできる内容で、黒字が病院での治療法です。

 また、上記の図を提示いただきながら、自宅でもできる内容と、病院での治療に関して、ご説明いただきました。さらに、最も涙液量を増やす治療(重症の涙液減少型ドライアイへの治療法)として「涙点プラグ治療」に関して、涙点という穴から涙点プラグを指す動画もお見せいただきました。

 涙液トラブルの予防のために、「1.パソコン・タブレットに向かうときは意識してまばたきを2.パソコンは見やすい画面、見やすい文字で3.空調の風向きに注意(顔には当たらないように)加湿器も考慮4.目が疲れたら蒸しタオルをまぶたに乗せてみる5.午後や夕方に目の調子が悪くなるのは「涙液トラブル」のサイン6.コンタクトレンズで調子が悪いときは眼鏡に変える7.市販の点眼や洗浄液を使う場合は、用法用量を守る8.セルフケアで症状が改善しない場合は眼科を受診」という8つのポイントを挙げていただきました。

 最後に、「涙液トラブル」にならないためには、日常的に涙をケアしてあげることが必要とした上で、「『涙液トラブル』かもしれないと思ったら病院できちんと診断を受けましょう。」とコメントをいただき、改めて涙液トラブルの治療の必要性に関してご説明いただきました。

 当委員会では目のトラブルを意識していない方々に、自身の「涙液トラブル」に気づき、涙のケアが必要だと考えていただく、きっかけづくりができるよう、今後も活動に励んでまいります。

 ●「涙液トラブル」とは

 「涙液トラブル」とは、涙の不具合が原因で起こる目の不快症状です。

 目の乾き、疲れ目、かすみ目など、目の不快症状の根本原因の一つは、涙の分泌量や成分が不安定になることだと考えられます。涙がうまく分泌されなかったり、涙の成分がきちんと生成されなかったりすると「涙液トラブル」となり、目の乾き、疲れ目、かすみ目などさまざまな目の不快症状が現れます。涙の成分には、目の表面の組織(角膜)と涙を結びつける「ムチン」などがあります。

 涙液トラブルが発生する頻度が多くなったり重症化したりすると、ドライアイや、角膜の傷、目の表面の炎症などの病気を引き起こす場合もあります。涙の不具合、つまり「涙液トラブル」を予防したり改善したりすることで、目の不快な症状を抑えられるため、涙そのものへのケアが大切です。

 ※詳細は「気づいて!涙液トラブル啓発委員会」のサイトをご覧ください。 https://ruieki-trouble.com/

【気づいて!涙液トラブル啓発委員会 概要】

 ● 活動概要

 目の健康に対する意識の低い方が自身の目のトラブルに気づき、具体的な対策をとっていただくためのきっかけづくりとして、公平な視点や立場から、目のトラブルと涙の関係性についての正しい知識やエビデンスを発信し、「目の疲れ、かすみ、不快感は実は涙の不安定性、涙液トラブルが原因 」という可能性があることの啓発活動を行う。

● メンバー

東邦大学医療センター大森病院 眼科 教授 堀 裕一(ほり・ゆういち)先生

 1995年大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院、国立大阪病院を経た後、2001年米国ハーバード大スケペンス眼研究所留学。帰国後は大阪大学医学部附属病院、大阪大学医学部眼科助手(助教)を務め、2009年より東邦大学医療センター佐倉病院眼科講師、その後准教授を経て2014年より東邦大学医療センター大森病院眼科教授。

順天堂大学医学部附属順天堂医院 眼科 猪俣 武範(いのまた・たけのり)先生

 2012年順天堂大学大学院博士課程眼科学にて博士号取得(医学博士)。米国ハーバード大スペケンス眼研究所留学、ボストン大学経営学部Questrom School of Business卒業(MBA)後、順天堂大学医学部眼科学教室助教。同院において病院安全機能管理室併任、順天堂大学大学院医学部戦略的手術室改善マネジメント講座、同大病院管理学併任を経て、2019年より同大准教授。2020年5月より同デジタル医療講座併任。

ケイシン五反田アイクリニック  内野 美樹(うちの・みき)先生

 2001年山梨医科大学医学部卒業。慶應義塾大学眼科学教室、立川共済病院、国立埼玉病院、慶應義塾大学医学部助手、両国眼科クリニックを経て、2012年慶應義塾大学医学部医学科にて博士号取得(医学博士)、米国マサチューセッツ眼科耳鼻科病院研究員を務める。2015年米国ハーバード大学公衆衛生学修士取得。慶應義塾大学眼科学教室特任講師を経て、2020年ケイシン五反田アイクリニック院長。

東京歯科大学市川総合病院  山口 剛史(やまぐち・たけふみ)先生

 2002年慶應義塾大学卒業。慶応義塾大学病院眼科、独立行政法人国立病院霞ヶ浦医療センター眼科医長、慶應義塾大学病院助教、東京歯科大学歯学部助教を務めた後、2011年米国ハーバード大スケペンス眼研究所留学。東京歯科大学市川総合病院助教を経て、2014年より東京歯科大学市川総合病院講師。

協賛  参天製薬株式会社

 WEBサイト https://ruieki-trouble.com/

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