シリアの人々の声~最優先は子どもたちが学校に戻ること【報道参考資料】

公益財団法人日本ユニセフ協会

 新型コロナ以降、非公式教育も中断

紛争で荒廃したホムスの町に立つ16歳のヌールさん。(2020年2月撮影) (C) UNICEF_UNI310492_Al-Droubi

 【2020年6月30日 アンマン(ヨルダン) 発】

 シリア紛争が子どもたちにもたらしたこと、それは近年の歴史の中で最も残忍なことのひとつです。危機が始まって以来、シリアでは約600万人の子どもが生まれました。彼らは、戦争と避難しか知りません。暴力により10時間にひとりの子どもが命を落とし、250万人以上の子どもがふるさとを逃れ、安全を求めて近隣諸国へ避難することを余儀なくされました。

 しかし、シリアの人々は単なる数字ではありません。彼らは声を持っています。そして一人ひとりの意見に耳をふさいではなりません。

 ユニセフは、最近実施されたギャラップ・インターナショナルによる世論調査の結果を取り入れました。調査では、シリア、ヨルダン、レバノンで暮らすシリアの人々に対面インタビューを行い、紛争が始まってから約10年間、彼らとその子どもたちが直面している最も深刻な問題と懸念について尋ねました。

暴力の激化により、アタリブにある村から逃れる家族を車の中で待つ10歳のアブドゥラくん。(2020年2月撮影) (C) UNICEF_UNI296648_Abdullah

 調査対象はシリア人3,500人で、紛争の影響に関するシリアの人々の声に光を当て、人々のニーズにどのように対応すべきかを知ることを目的としています。

 「紛争による暮らしや子どもたちへの影響、そしてこの最も残酷な紛争をどのように生き抜いてきたか、シリアの人々が語ってくれました」と、ユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ地域事務所代表のテッド・チャイバンは述べました。「傷は深く、心の健康への影響が深刻であることは明らかです。また、子どもの教育と貧困が最大の懸念事項であり、主要な課題であることが分かりました」

 調査によると:

 どこで暮らすシリア人も、子どもたちはこの紛争によって最も重い代価を払ったと述べた。

 心理的ダメージと心の健康への影響は、身体的な傷と同じくらい深刻であると確認された。

 調査対象のシリア人のほとんどが、避難、怪我、または愛する人の死を経験した。

 シリア国内に住むシリア人は、近隣諸国に住むシリア人よりも、シリアの子どもたちの将来について楽観的である傾向がある。また子どもがいる家族は、子どもがいない家族に比べて楽観的になりにくい傾向がある。

 教育はシリアの人々にとって最大の課題であり、次に貧困、保健・医療へのアクセス、孤児へのケアが続く。

 子どもたちへの最優先事項について尋ねられた時、子どもたちを学校に戻すことを優先事項とし、次に保健ケアへのアクセスと孤児のケアが続く。

 シリアの一部地域では、調査対象の人々の半数以上が、学校に通えていない子どもが少なくとも1人いると答えている。それに対し、ヨルダンとレバノンのシリア難民では、約3分の1だった。

イドリブ県北西部にあるAred al-Jeb難民キャンプの仮設住居で、ユニセフの通学カバンを手にする12歳のウィアムさん(右)と5人の兄妹。(2020年1月撮影) (C) UNICEF_UNI307520_anonymous

 学校に通えないシリアの子どもは280万人いるものの、シリア国内および近隣諸国の約500万人の子どもたちが、あらゆる困難に逆らいながら学習を続けています。これは主に、教師や現場のパートナー団体の努力、そしてユニセフのご支援者からの寛大な支援のおかげです。

 「私たちは、前例のない寛大さを向けていただいているすべてのご支援者に感謝します。シリアの子どもたちが教育を続ける大きな助けとなりました。子どもたちが学習の遅れを取り戻し、また教育を継続できるように、シリアや近隣諸国の子どもたちへの寛大さを保持いただけるようお願いします。現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、ユニセフが支援する一部のセンターと子どもにやさしい空間での非公式教育が中断しており、大規模な資金がより重要になっています。これは、子どもたちとシリアの未来を守るために欠かせません」(チャイバン)

 シリアの子どもたちに重要な支援を提供し続けるために、ユニセフは現在、シリア国内および近隣諸国でのプログラムに6億8,200万米ドルを必要としています。

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 ■ ギャラップ・インターナショナルは、2020年初めにシリア国内で調査を実施した。シリアの14の県すべてにおいて、2,552人への対面インタビューを実施。レバノンとヨルダンにおいても、シリア難民1,000人を対象に同様の調査が行われた。

 ■ 本調査は、3カ国でCOVID-19の症例が確認される以前に行われた。

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 ■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。

 特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/

 各種ガイドライン: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/info/

 ■ ユニセフについて

 ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )

 ※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 ※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

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 公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )

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