外交青書、中国への危機感反映 軍拡、人権問題への懸念手厚く

 27日に公表された令和3年版「外交青書」は、2年版よりも踏み込んだ表現で中国の軍事力拡大を牽制(けんせい)し、新疆(しんきょう)ウイグル自治区をはじめとする人権状況の記述も大幅に拡充した。対立する米中関係を初めて独立した項目で取り上げるなど、中国への危機感を色濃く反映する内容となった。

 青書は中国による東シナ海などでの軍事活動について「安全保障上の強い懸念」と初めて断じた。過去30年で国防費を約44倍に増加させ、海空軍や核・ミサイル戦力を急速に増強している事実などを踏まえ、2年版の「懸念事項」との文言から表現を強めた。

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で領海侵入を繰り返す中国海警船舶の活動についても「情勢は厳しさを増している」と訴えた。青書は原則として昨年1年間に発生した事象を記載するが、今年2月施行の中国海警法も「看過できない動き」(外務省幹部)としてあえて盛り込んだ。

 ウイグルの人権状況に関する記述は、2年版では「国際社会の関心が高まっている」との一文にとどまったが、3年版は中国内政の項目の約4分の1を占めた。外務省幹部は「記述量が増えたということは、それだけ問題が増えたということだ」と説明する。

 青書では米中関係を独立した項目で取り上げたほか、米ワシントンで今月行われた菅義偉首相とバイデン大統領の首脳会談にも言及した。経済外交も一つの章として新設し、経済安全保障の重要性を強調した。いずれも台頭する中国を念頭に置いた措置といえる。

 一方、韓国に対しては「未来志向」など前向きな文言は今年も見送り、「重要な隣国」との評価を据え置いた。ロシアとの北方領土交渉も停滞しており、2年版とほぼ同じ書きぶりとなった。(石鍋圭)

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