21年版「外交青書」で中国への表現が大幅強化 活発化する軍事活動「安保上の強い懸念」、ウイグル人権状況に「深刻な懸念」

 2021年版の「外交青書」の概要が判明した。東・南シナ海で活発化する中国の軍事活動について、「日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念」と明記し、中国当局による新疆ウイグル自治区での人権弾圧に関する記述も拡充したという。菅義偉政権として、軍事的覇権拡大を進める中国に対峙(たいじ)する覚悟を示したといえるのか。

 外交青書とは、国際情勢や日本の外交政策をまとめて報告したもの。

 産経新聞24日朝刊によると、中国については前年版と同じ、「最も重要な二国間関係の一つ」とする一方、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国海警船の活動を「国際法違反」と批判した。今年2月施行の中国海警法に対し、「国際法との整合性の観点から問題がある規定を含む」と指摘した。

 冒頭の「安全保障上の強い懸念」という表現も、20年版の「地域・国際社会共通の懸念事項」から強めたかたちだ。

 注目すべきは、中国国内の人権状況に深く言及した点だ。ウイグルの人権状況について、「深刻に懸念している」と表明した。日本の取り組みを紹介し、「自由、基本的人権の尊重、法の支配が中国においても保障されることが重要」と訴えた。

 菅首相と、ジョー・バイデン大統領の日米首脳会談(16日)を受けた共同声明でも、「中国の不法な海洋権益に反対」「台湾海峡の平和と安定の重要性」「香港、ウイグルの人権状況に深刻な懸念」などが示されたが、今回の外交青書をどう見るか。

 国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「従来版に比べて、踏み込んだ記述になった点は評価できる。ただ、欧米諸国がウイグルの人権弾圧を『ジェノサイド(民族大量虐殺)』という強い言葉で批判するなか、『深刻な懸念』では先進国でも遅れがちだ。中国は言葉よりも行動を重視する。人権弾圧に懸念を示した以上、習近平国家主席の国賓来日中止や、経済界も日中間の交流の見直しなど、具体的措置が求められてくる」と語った。

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