気候変動サミット 削減基準年も目標もバラバラ 各国の思惑が交錯

 2030年の温室効果ガス排出量の国別削減目標(NDC)は、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」に基づき、50年までに温室効果ガスの実質排出ゼロを目指すための中間目標として各国に求められている。削減量の起点となる比較年が国によってバラバラなのは排出量のピークが各国で異なるためだ。減少幅を大きく見せることで国際交渉を自国に有利に運ぼうとする思惑が背景にある。

 欧州連合(EU)や英国は1990年を基準年とする。97年の京都議定書で定めた排出削減目標と同じで、冷戦終結後の東欧諸国の経済停滞に伴い欧州の排出量が90年頃を境に減少に転じたのを踏まえた。「90年」を堅持することで伝統的な環境先進国とのイメージを示す狙いがある。米国も排出量のピークに近い2005年を基準年とする。

 日本は昨年3月、30年度に向け「13年度比26%削減」を決め、15年に決めた数値目標を据え置いた。近く決める削減目標も13年度比とする見通し。11年の東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で火力発電所の稼働率が上がり、13年度が近年で最も排出量が多い。

 一方、世界最大の排出国の中国は「30年までに排出量を削減に転じさせる」など緩やかな目標設定にとどまる。パリ協定が、18世紀後半の産業革命後に大量に排出した先進国に多くの責任があるとしていることを根拠としている。長期目標も各国より10年遅い60年としており、したたかな戦略がのぞく。(奥原慎平)

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